1978 年 31 巻 5 号 p. 491-496
1) 精白粟粉末を用い, α-およびβ-amylase処理によりたん白質含量29.2%の粟たん白濃縮物を得, 白ネズミによる動物試験の供試試料とした。
2) 精白粟, 粟たん白濃縮物, グルテンの各アミノ酸組成を分析, CSおよびEAA Indexを求めたところ精白粟が高い値を示した。また粟たん白濃縮物中のリジン含量が低下することが認められた。
3) 精白粟, 粟たん白濃縮物, グルテンの一般成分組成を分析, 三訂日本食品標準成分表の精白米と精白粟の分析値を比較したところ粗たん白質で約1.5%, 粗脂肪で約3倍精白粟のほうが高い値を示した。また精白粟中のB1, B2およびミネラルを分析し, 精白米と比較したところB1は約5倍, 鉄は約15倍の値を示した。
4) 粟たん白濃縮物およびグルテンをたん白源とし, 8%たん白質飼料で飼育した白ネズミの体重増加量は, 両区の間に有意差は認められずほぼ同程度の成育結果が得られた。また生物価, 消化率, 正味たん白質利用率を比較検討したところ, 生物価に有意の差は認められなかったが, 消化率, 正味たん白質利用率でグルテン区のほうがややすぐれている結果が得られた。