体力科学
Online ISSN : 1881-4751
Print ISSN : 0039-906X
ISSN-L : 0039-906X
都市と農村青少年の有酸素的作業能に関する研究
吉沢 茂弘
著者情報
ジャーナル フリー

1972 年 21 巻 4 号 p. 161-175

詳細
抄録

1.皮脂厚は男子, 女子ともに都市が農村よりも大きい。
2.PWC170 (kpm) においては男子ではすべての年令で有意差が認められなかった。しかしPWC170 (kpm/kg) に換算してみると12才以降有意差をもって農村が都市を上回わった。
一方女子では11才までは都市が農村を上回る傾向を示したが, 13才以降になるとPWC170 (kpm/kg) において農村が都市を有意に凌ぐようになった。
3.Vo2max. (ml/kg) に関しては, 男子の場合15才以降になって有意に農村が都市を上回わっている。これは女子についてもいえるが, 17才では有意差が認められなかった。
4.dPWC170 (kpm) /△Body weight (kg) において, 男子は農村の場合都市の2倍の勾配を示したが, 女子は12才から14才のグループでわずかに高いだけで, 他のグループでは差がなかった。
5.△Vo2max. (1) /△Body weight (kg) においては, 男子の場合PWC170と同様農村が都市よりも高い勾配を示したが, 女子の場合殆んど差がみられなかった。
6.相対成長においてPWC170 (kpm) についてみると, 男子の場合変移点における身長が都市と農村でそれぞれ157.1cm, 156.4cmというように殆んど差がなく, そしてこの変移点までのαは3.744, 4.968というように農村が圧倒的に高かった。女子の場合都市には変移点がみられず, α=2.537であったが, 農村では男子よりもほぼ10cm小さいh=145.3cmで変移点がみられ, その前, 後のαは6.303, 3.263であった。
7.同じくVo2max. (1) についてみると, 男子の都市と農村における変移点はそれぞれ155.6cm, 163.7cmで, 農村が身長で都市8.1cm大きい所で変移点をむかえている。変移点までのαは都市が4.147, 農村が3.818であり, 変移点をすぎると2.180, 2.000であった。女子の場合は都市で変移点がみられずa=2.838であったが, 農村においては身長146.9cmで変移点がみられ, その前, 後のαは4.220と3.029であった。
本研究は文部省特定研究「IBP: ヒトの適応能に関する研究」のうち「日本人青少年の有酸素的作業能に関する研究」と題して昭和45年, 46年の2ケ年にわたり行なわれた研究の一部である。稿を終るにあたって恩師故猪飼道夫先生の御指導と文部省ならびに御協力いただいた関係学校職員, 児童生徒に対して深く感謝いたします。

著者関連情報
© 日本体力医学会
次の記事
feedback
Top