抄録
29日令から350日令ラットの副睾丸脂肪を川いて, in vitroの実験を行ない, その加令経過から脂肪分解能 (lipolytic activity) を観察し, 以下の結果を得た。
1) 副睾丸脂肪組織の質的変化として観察したT・G対湿重量比, T・G対蛋白質量比は共に35日令と43日令との間で著しく増加した。さらに口令が進んでもT・G対湿重量比は43日令の値とほぼ同じであった。
2) 脂肪分解能は29日令で最も高く, 日令が進むに従って減少した。その経過は29日令から43日令までの著しい減少期間とそれ以後の緩徐な減少時期との2相に大別された。
3) T・G対蛋白質量比と脂肪酸放出量との関係には, T・G対蛋白質量比が小さい場合に脂肪酸放出量は多く, 一方, T・G対蛋白質量比が大きい場合に脂肪酸放出量は少ないという関係が認められた。
以上の成績から, 加令による脂肪分解能の低下は, 脂肪組織のトリグリセライド増加と関係があり, そのT・G対蛋白質量比が10以上になると脂肪分解能は著しく抑制された。
本研究は文部省総合研究費補助金 (加令と体力, 代表者田村喜弘) によって行われた。