体力科学
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直立時動揺と疲労
山本 高司
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1979 年 28 巻 1 号 p. 18-24

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抄録
空港貨物取扱業務に従事する某社の男子現業員12名 (26.7±6.2才) を対象とし, 作業前, 作業半ば, および作業後における直立時の動揺 (postural sway) を, 荷重センサーと支持板からなる動揺測定装置を用いて記録した。測定は第1日目, 2日目, 3日目と連続して行なわれた。その結果, 次の事柄が明らかとなった。
第1日目においては, 開眼の場合, 作業前値を100とした時に, 作業半ばおよび作業後では123, 125であり, 閉眼の場合は, 順に, 100, 116, 113であった。同様にして, 第2日目の開眼の場合は, 1頂に, 100, 121, 138であり, 閉眼の場合は100, 130, 153であった。第3日目の徹夜作業においては, 開眼の場合, 順に, 100, 125, 147であり, 閉眼では100, 101, 123であった。したがって, いずれの日においても直立時の動揺は, 作業時間の経過と共に増加の傾向を示した。t検定の結果, これらの増加は5~0.1%の危険率で有意であった。
一般に, 直立時動揺の変動をもたらす要因としては種々のものがあげられるが, 本研究における動揺の増加の主要な原因としては, 作業自体に伴う疲労によって姿勢調節能が一時的に減弱したことが考えられる。
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© 日本体力医学会
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