体力科学
Online ISSN : 1881-4751
Print ISSN : 0039-906X
ISSN-L : 0039-906X
最大酸素摂取量と身体組成からみた肥満者の呼吸循環器系機能
北川 薫宮下 充正
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 30 巻 3 号 p. 131-136

詳細
抄録

VO2maxにみる呼吸循環器系機能について肥満の影響を明らかにするために, 肥満者と非肥満者の身体組成研究から検討を加えた。そして以下のような結果を得た。
(1) VO2maxの絶対値には3郡間で差はみられなかった。
(2) 体重あたりのVO2maxは痩身者と一般人との間には有意差はなかったが, 肥満者は非肥満の両群に対して有意に低い値を示した。
(3) LBMあたりのVO2maxは3群間で有意差はみられなかった。
(4) 非肥満者に負荷実験をしたところ, 無負荷状態に比べてVO2maxの絶対値およびLBMあたりのVO2maxに有意差はみられなかった。
以上の結果から, 本研究で対象とした肥満者ではVO2maxでみる呼吸循環器系機能に対して肥満は影響しないものと考えられる。したがって肥満者の過剰な脂肪重量は単なる不活性な負荷にすぎないと推察される。しかし肥満者は持久走などの作業成績では肥満の影響は顕著となろう。一方, 痩 身者と一般人との問にはVO2maxの絶対値も相対値も差異はなく, 非肥満者では脂肪重量の多少のはVO2maxに全く関係しないことがわかった。

著者関連情報
© 日本体力医学会
次の記事
feedback
Top