1981 年 30 巻 3 号 p. 157-166
生後300の雌のラットに, トレッドミルによる持久的トレーニングを15週間負荷し骨格筋線維に及ぼす影響を組織化学的に検討した結果は次の通りである,
1.体重, 筋重量についてはトレーニング群, コントロール群の問に差はみとめられなかった。
2.FOG, FG, SOのfiber type別にみた筋線維構成は, トレーニングによっても変化しなかった。
3.収縮速度に関係が深いといわれるmyosin ATPase染色により, FT, ST線維にわけて検討してみると, ヒラメ筋ではSTfiberが85%を占め, 反対に, 長指伸筋では95%が, 足底筋では90%がFT fiberで, それぞれの筋の特性をよくあらわしているが, トレーニング群とコントロール群の問に有意差は認められなかった。
4.トレーニングによる筋線維の横断面積の変化は, FG fiberでは殆んど肥大がみとめられなかったがSO, FOG fiberでは8~11G%の増大があり, 疲労耐性の増強が考えられる。
本研究の一部は, 昭和52, 53年度文部.省科学研究費補助金総合研究A (代表者東京大学宮下充正) により行なった。