体力科学
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踏出し応答時間に及ぼす股関節及び膝関節角度の影響
衣笠 隆藤田 紀盛田中 英彦
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1985 年 34 巻 1 号 p. 42-50

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抄録
股関節, 膝関節の各々の角度が, 足を一歩横に踏出す動作課題に対する全身選択応答時間 (反応ランプ点灯から足を一歩踏出すまでの時間; 応答時間) に及ぼす影響について検討した.13名の被験者を用いて, 股関節と膝関節の角度をそれぞれ10゜, 40゜, 70゜の屈曲とした9種類の実験条件において, 比較検討した.また同時に, 全身選択反応時間 (反応ランプ点灯より, 足を踏出すために, 挙上するまでの時間; 反応時間) と運動時間 (全身選択応答時間から全身選択反応時間を引いた時間) を算出した.さらに, 足底圧の変化, 筋電図を同時に分析した.その結果は以下の通りである.
1.股関節及び, 膝関節をともに70.屈曲した姿勢において応答時間が最も短縮された.その結果は主に運動時間の短縮であった.膝関節を屈曲させる程, 反応時間は延長した.
2.本研究の反応動作において, 反応時間や運動時間に対して, 股関節角度の変化よりも膝関節角度の変化の影響が大きかった.膝関節が屈曲される程, 反応時間は遅延され, 運動時間は短縮された.
3.いずれの実験条件においても, 足底圧の変化は先ず, 踏出し足にあらわれ, 次いで, 支持足にあらわれた.
4.股関節及び, 膝関節をともに屈曲した姿勢における応答時間の短縮は, 中枢神経系の促通と姿勢の安定によると考えられる.
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© 日本体力医学会
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