体力科学
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コレステロール代謝に及ぼす身体トレーニングおよび食塩負荷の影響
安部 孝坂元 晃史広田 公一東 悳彦
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1986 年 35 巻 3 号 p. 145-151

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抄録
Wistar系雄ラットを用い, 自由運動のトレーニング及び食塩の過剰摂取が血圧や体内コレステロール代謝に及ぼす影響についてしらべた.食塩負荷は1%食塩水とし, 飲料水として与えた.運動のトレーニングは10週間とした.結果は次のようであった.
1) 収縮期血圧の上昇はわずかで各群間に差は認められなかった.2) 血清及び肝コレステロール値は運動群が有意に低い値を示した.3) 総コレステロールに対するHDLコレステロールの割合では運動一水道水摂取群で有意に高かった.4) 安静群の肝コレステロール合成能は食塩負荷によって有意に低下した.5) 運動群では週当りの運動レベルと肝コレステロール合成能との間に正の相関関係が認められた.
以上の結果が示唆するように, Wistar系ラットでは水道水条件下と同様に, 1%食塩水を負荷した条件下においても, 運動のトレーニングは体内コレステロール代謝を改善し, 動脈硬化もしくはそれに起因する疾患の予防上, 好影響をもたらすものと結論した.
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© 日本体力医学会
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