体力科学
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自然発症高血圧ラット (SHR) の運動性筋血流増大現象について
藤田 幸雄前田 順一田代 哲郎木根 利男竹宮 隆藤田 紀盛
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1987 年 36 巻 5 号 p. 231-242

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抄録
SHRの運動性血流増大現象の特性を調べ, またこれに対する運動の影響を検討する目的で, SHRとWistar系のコントロールラット (WCR) をそれぞれ非運動群 (nE) , 運動群 (Ex) の2群に分けて飼育し, 水素ガスクリアランス法による下腿筋群の血流量の測定を麻酔下で行った.その結果は以下の通りである.
1.各週齢における体重はSHR, WCRともに運動群の方が低値を示した (P<0.05~0.001) .食餌摂取量は逆に運動群が高値を示す傾向があった (p<0.05) .
2.心臓重量の体重比は運動群で高値であった (WCR; P<0.05, SHR; P<0.001) .一方腎周囲の脂肪組織は逆に運動群で低値を示した (WCR; p<0.05, SHR; p<0.001) .
3.SHRの走行量はほとんどの週齢でWCRより高い値を示した (P<0.01) .また血圧の測定値はSHR, WCRともに運動群と非運動群との間に一定傾向の差異は認められなかった.
4.安静時におけるSHRの筋組織血流量はWCRに比べて低い値を示した (P<0.05) .また筋活動後の血流量はSHR, WCRともに運動群が非運動群に比べて高い値を示した (P<0.05~0.01) .
以上のことから, SHRにおいて安静時筋血流は低下しているが, 運動性血流増大は正常であること, すなわち運動による末梢性の調節能はほぼ正常に作動していることが確認された.
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© 日本体力医学会
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