体力科学
Online ISSN : 1881-4751
Print ISSN : 0039-906X
ISSN-L : 0039-906X
幼児における持久走の呼吸循環機能に及ぼすトレーニング効果に関する研究
吉沢 茂弘本多 宏子漆原 誠中村 仲
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 39 巻 4 号 p. 243-255

詳細
抄録

5~6歳の男児12名をE群とし, 3~4mmol・l-1に相当するHRが少なくとも連続的に3~4分間維持される約915mの持久走を1日1回 (日曜日を除く) 6ケ月間実施したところ, 水平に固定されたトレッドミル走行の漸増負荷の測定において次のような変化がみられた.
200beats・min-1を上回る最大努力時のVo2max/TBWはトレーニング期間前の47.5ml・kg-1・min-1からトレーニング期間後の50.4ml・kg-1・min-1へ, またpeak LAは5.41mmol・l-1から6.39mmol・l-1へとともに有意に (p<0.05) 増加した.またVmaxも走行動作の改善も加わり190.0m・min-1から205.0m・min-1へと有意に (p<0.001) 増大した.しかし最大下の4mmol・l-1及び3mmol・l-1に相当するこれらの変量には全く有意差が認められなかった.
他方, 7名の同年齢男児のC群においては, 最大努力時及び最大下負荷時のすべての変量においてトレーニング期間前後の間に有意差は認められなかった.
このように, E群の最大努力時にみられた効果は, 幼児においても呼吸循環系にTrainabilityが存在することを示唆している.また持久走トレーニングが走行動作の効率の改善に大きく関与していることがわかった.
本研究は第15回ヨーロッパ小児運動生理学シソポジウム (平成元年9月11~15日, Seregelyes, Hungary) において口頭発表したものである.
なお, 本研究に参加協力下さった園児, 栃木県烏山町宮原保育園長白河健一氏, 宇都宮市戸祭町戸祭保育園長丸山茂夫氏並びに心電図を解読して下さいました循環器専門医桜井杲氏に深く感謝致します.

著者関連情報
© 日本体力医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top