小児歯科学雑誌
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原著
唾液α-アミラーゼによる小児患者の歯科診療におけるストレスの評価と母親の影響
小川 大樹園本 美惠大東 道治
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2009 年 47 巻 4 号 p. 607-614

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抄録
歯科診療において種々の刺激で,患児に恐怖や不安が生じ,不快ストレスの原因になる。そのため,歯科診療における患児のストレスを客観的に評価し,そのストレスを軽減させるための対策を講じることは,重要な課題である。また,歯科診療時に付き添う母親は小児患者にとって特別な役割を担っており,母親の情動の変化が患児に影響を及ぼすといわれている。 本研究では生体のストレス応答機序が解明されているα-アミラーゼを患児および歯科診療時に付き添っている母親において測定し,それを指標に小児の歯科診療におけるストレスが母親のストレスに影響されるのかを検討した。 対象は大阪歯科大学附属病院小児歯科外来を受診した2 歳から12 歳までの小児36 名とその母親36 名とし,診療前後に採取した唾液について,唾液α-アミラーゼ活性を測定した。その値の変化については,診療記録と母親へのアンケートを加味して検討することにより,小児の歯科診療時のストレスを評価した。 小児のα-アミラーゼ活性値は診療前より診療後の方が有意に減少した(p<0.05)が,母親の値は有意な変化がみられず,影響は小さいと思われた。しかし,α-アミラーゼ活性値の変化が同調している群では「7 歳未満」と「予防処置」の割合が多く,低年齢児の場合や痛み刺激が少ない場合は母親のストレスに影響されることが示唆された。
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© 2009 日本小児歯科学会
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