抄録
浸水安静時における体温調節反応の日周変動を明らかにするために, 健康な男子大学生を対象に, 体温上昇期と下降期に一定水温 (21℃) 下で安静状態を保持し, その際の体温調節反応を観察すると, ともに, 熱平衡の側面から体温調節系の動作様式に検討を加えた.得られた結果は以下の通りである.
1.熱産生量は体温上昇期に大で, dryの熱放散量は体温日周変動の各時刻に差異は認められなかった.
2.ふるえは体温日周変動の各時刻ともに時間経過に伴って増大し, 特に, その傾向は体温上昇期に著明に認められた.
3.貯熱量は体温日周変動の各時刻ともに負の値を示し, 体温下降期に大であった.
4.平均体温に対するふるえ持続時間の関係では, ふるえ発現閾値平均体温は体温日周変動の各時刻間に差異は認められないが, 同一平均体温に対するふるえの感度は体温上昇期に大であった.