1994 年 43 巻 1 号 p. 104-112
幼児 (5~6歳児) を対象として, 把握, 肘屈曲及び肘伸展時の力量弁別特性 (上下弁別閾と不確定区間) と発揮されている力量水準との対応関係, 及びその関連の程度を明らかにした.各標準刺激の力量水準を各被験者の最大随意筋力の相対値に変換した後に, 力量弁別特性と発揮力量との対応関係を回帰分析法を適用して分析した.分析の過程では男女差の検討を行い, 5~6歳の年齢段階において力量弁別特性に性差が認められないことが明らかになった.直線及び曲線回帰式 (2~5次の多項式) を用いて分析した結果, 力量弁別特性と発揮力量とは直線よりもむしろ曲線的に対応していることが認められた.さらに, 2次の多項式を用いて, 発揮されている力量水準によって力量弁別特性を説明可能な割合が, 把握 (36.6~44.2%) , 肘屈曲 (26.1~46.8%) 及び肘伸展 (28.1~37.6%) の各動作について推定された.力量弁別特性を発揮力量で説明できない部分には個人差などが関係していると推測される.