体力科学
Online ISSN : 1881-4751
Print ISSN : 0039-906X
ISSN-L : 0039-906X
エネルギー消費量からみた幼児の活動量
王 昭文三村 寛一平野 久美子三上 聡子米谷 光弘伊藤 俊彦前田 如矢
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 44 巻 3 号 p. 339-346

詳細
抄録

幼児の健全な成長, 発育を促し, 運動量, 摂取量の資料を得るために, 運動能力テストの上位, 下位各10名の幼稚園男子園児 (5~6歳) を対象に, 一日のエネルギー消費量を心拍数, 酸素摂取量から推定することと一日の食物摂取状況調査を実施し, 結果は次の通りである.
1.最大酸素摂取量は上位群で1063.6±135.4ml/min (51.1±5.6ml/kg/min) , 下位群で882.5±78.2ml/min (44.7±5.0ml/kg/min) を示し, 上位群のほうが大きい傾向を示した.
2.一日のエネルギー消費量は上位群が1523.1±205.3kcal, 下位群が1265.4±108.7kcal下位群がであった.下位群は活動量が少ない傾向を示した.
3.園生活の指導内容別にみると, エネルギー消費量が最も高かったのは体育教師による体育授業であった.上位群は76.7~199.4kcal/hの範囲で平均139.0±35.0kcal/h, 下位群は72.0~128.3kcal/hの範囲で平均98.7±19.2kcal/hを示した.
4.家庭生活内容別のうち, 最も差が大きかったのは屋外の自由遊びであり, 上位群で平均118.7±26.1kcal/hであり, 下位群で平均71.4±15.2kcal/hであった.
5.エネルギー摂取量と消費量のバランスについては正の値を示したものが上位群10名中6名, 下位群10名中9名であった.肥満の予防と積極的な健康づくりには食事を減じるのではなく, 運動を増やすべきである.

著者関連情報
© 日本体力医学会
次の記事
feedback
Top