体力科学
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中強度 (60%Vo2max) の持久性トレーニングにともなうヒトの大腿部における筋の形態的特性および脚筋力の変化
秋間 広久野 譜也渡辺 登中嶋 英彦板井 悠二勝田 茂
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1995 年 44 巻 3 号 p. 365-374

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抄録

自転車エルゴメータを用いた中強度 (60%Vo2max) の持久性トレーニングが成人女性の大腿部の筋の形態的特性および等速性膝伸展力および屈曲力に及ぼす影響について検討した.結果の要約を以下に示す.
1.最大酸素摂取量は39.1±4.7から44.8±4.8ml/min/kgに有意に増加した (p<0.01) .
2.MRIにより得られた膝伸筋の筋断面積は大腿部の10カ所の全ての部位において有意な増加が認められ, その増加率は11~17%であった.また, 大腿直筋外側広筋, 中間広筋および内側広筋の筋断面積においても10カ所のうち6~9カ所において有意な増加が認められた.
3.膝屈筋の筋断面積は大腿部の10カ所のうち7カ所において有意な増加が認められ, その増加率は8~16%であった.また, 大腿二頭筋 (短頭・長頭) , 半腱様筋, 半膜様筋および縫工筋の筋断面積は3~5ヵ所において有意な増加が認められた.
4.大腿部の筋群 (膝伸展筋・屈曲筋, 内転筋) の筋容積は有意な増加が認められたが, 皮下脂肪においては有意な変化は認められなかった.
5.等速性膝伸展力・屈曲力 (ピークトルク) およびピークトルクを膝伸筋・屈筋の筋断面積で除した単位面積当たりの筋力に有意な変化は認められなかった.
以上の結果より, 中強度 (60%Vo2max) の持久性トレーニングであっても筋断面積の増加は生じるが, 筋力トレーニングと異なり, 必ずしもその筋断面積の増加に見合った分の筋力の増加は示されない可能性が示唆された.

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© 日本体力医学会
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