体力科学
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屋外における暑熱下運動時の飲水行動と体温変動の関係
寄本 明中井 誠一芳田 哲也森本 武利
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1995 年 44 巻 3 号 p. 357-363

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抄録

実際の運動場面における飲水状況と生体応答について検討するため, 夏季に自由に飲水できる状況で屋外運動 (野球) を実施し, その際の飲水行動と口渇感の関係, さらに水分摂取が体温変動に及ぼす影響について考察した.得られた結果を要約すると以下のとおりである.
1.運動時の直腸温の上昇は水分を摂取した場合で摂取しない場合より小さく, 飲水による体液量保持および冷水摂取による冷却効果が体温上昇を効果的に抑制していた.
2.休憩時の直腸温の低下は水分を摂取した場合で摂取しない場合より大きく, 回復過程における水分摂取は体液を補給すると共に体温を効果的に低下させた.
3.運動時の口渇感は発汗による脱水および体温の上昇を反映しており, 生体情報を示すひとつの目安として用いうることが可能である.
4.発汗による脱水によって, 口渇感を覚え, 水分を摂取するが, 失った量は運動中完全には補給されていない.したがって, 早めの飲水や飲水の機会を増やす必要性が示唆さた.

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© 日本体力医学会
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