体力科学
Online ISSN : 1881-4751
Print ISSN : 0039-906X
ISSN-L : 0039-906X
老齢化が精密把握時の摘み力適応調節に及ぼす影響
川合 悟津田 勇人木下 博生田 香明橋詰 謙村瀬 智彦山本 高司
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 46 巻 5 号 p. 501-512

詳細
抄録

拇指と人差指を用いた精密把握時の摘み力適応調節への老齢化の影響について検討した.高齢者 (84.2±8.9歳, n=33名) および成人 (19.1±0.24歳, n=18名) を対象として, 次の3条件で把握装置の摘み運動が繰り返された.すなわち (1) 物理的な特性が不確かな物体への適応, (2) 把握面変化への適応, および (3) 重量変化への適応の3条件に対する老齢化の影響であった.
(1) 把握物体に作用される高齢者のSlip ForceおよびSafety Margin Forceは, 成人のそれよりも有意に大きかった.
(2) 高齢者の多くは, 摘み力を速やかに調整することが困難で, 摘み力の安定に成人よりもより多くの試技を要した.
(3) 高齢者の多くは, 物体重量の変化に応じて適切なSafety Margin Forceを速やかにscalingすることが困難であった.
(4) 高齢者の摘み力適応機能は個体差が大きかった.
本研究の一部は, 平成7年度明治生命厚生事業団「健康医科学」研究助成および平成8年度帝塚山学園学術・教育研究補助費により行われた.

著者関連情報
© 日本体力医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top