体力科学
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児童における長期間のうんてい遊びが能動握力および受動握力に及ぼす効果について
古俣 龍一宮崎 義憲
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1999 年 48 巻 3 号 p. 375-384

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抄録

本研究では, 小学校4年生男女児童を対象として, 校庭の「うんてい」施設を利用したうんてい移動遊びを1日5~10分間 (1人最低1回以上の実践) , 週5日の頻度で7ケ月間にわたり実施させ, その際における能動握力と受動握力への効果について検討した.おもな結果は, 以下の通りである.
1.7ケ月間のうんてい遊び期間中におけるうんてい移動達成者の比率は, 男子は50.0%から71.4%, 女子は58.8%から94.1%に向上した.
2.うんてい移動中における筋電図記録では, 手がバーを保持した瞬間とバーから離れる瞬間には上腕二頭筋と上腕三頭筋に一時的な強い放電, バーを保持している間は腕橈骨筋と橈側手根屈筋に持続的な筋放電が認められた.
3.7ケ月間のうんてい遊び終了時において, 運動群の能動握力は男女とも増加 (女子P<0.05) したが, 通常群とに有意差は認められなかった.これに対し, 受動握力は, 男女とも有意に増加 (P<0.01) し, 通常群とに有意差 (男子P<0.05, 女子P<0.01) も認められた.
4.7ケ月間のうんてい遊びによって, 上腕囲と前腕囲は有意な増加を認めなかった.
以上の結果から, 小学校児童における長期間のうんてい遊びの継続は, 能動握力よりも受動握力の向上に顕著な効果が認められ, それは筋肥大よりも神経系による影響がが大きいと推察された.

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© 日本体力医学会
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