2001 年 50 巻 2 号 p. 193-200
本研究は, ウィスター系成熟雄ラットを用いて, 左脚骨格筋に直接熱ストレスを負荷し, 筋温を42℃で1時間維持した後の回復期におけるHSP60, HSP72, およびHSC73発現量の経時的変化を検討した.その結果, 遅筋のヒラメ筋では熱ストレス後の回復0~4時間までの間に, 分析したすべての熱ショックタンパク質に有意な増加がみられた.一方, 足底筋では, 熱ストレス終了直後にHSP60の一過性の増加がみられたものの, HSP72とHSC73の発現量にはまったく変化は認められなかった.このことは, 熱ストレスに対するヒラメ筋と足底筋の応答の違いを示すものであり, ヒラメ筋は足底筋と比較して熱ストレスに対して迅速に反応する能力を有することが示唆された.