日本門脈圧亢進症食道静脈瘤学会雑誌
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門脈圧亢進症における肺循環に関する検討
関山 達也長戸 孝道吉田 明弘古明地 弘和長野 具雄大須賀 勝寺田 秀人勝田 悌実里村 克章荒牧 琢己
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1997 年 3 巻 3 号 p. 209-213

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抄録

門脈圧亢進症においては肺合併症がしばしば認められるが, 肺循環動態に関する報告は少ない.われわれは慢性肝炎41例 (50.3±11.6歳, 男性/女性=26/15), 肝硬変41例 (50.1±8.9歳, 男性/女性=26/15) を対象として, 肝静脈カテーテル検査, 右心カテーテル検査を施行し比較検討した.肝硬変では慢性肝炎に比し肝静脈楔入圧, 肝静脈圧較差, 心係数が有意に上昇, 肺血管抵抗、総末梢血管抵抗は有意に低値であった.肝硬変において肺血管抵抗と総末梢血管抵抗の間に有意の正の相関, 肺血管抵抗と肝静脈圧較差の間に有意の負の相関関係が認められた.肺血管抵抗は総ビリルビン値と有意の負の相関, コリンエステラーゼ値とは有意の正の相関関係を示した.これらの結果は, 肝障害の進展に伴い, また全身血行動態の循環亢進状態の一部として肺血管抵抗の減弱が生じることを示唆する.

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© 日本門脈圧亢進症学会
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