1999 年 5 巻 4 号 p. 272-276
カテーテル留置法を用いた経静脈的塞栓術 (TOPS) を施行した孤立性胃静脈瘤 (GV) 症例の長期予後について内視鏡的静脈瘤硬化療法 (EIS) 施行例と比較検討した.対象は肝癌非合併肝硬変例とし, 緊急例を除外したTOPS施行群20例, EIS施行群15例である.TOPS群の最長観察期間は76カ月, 平均観察期間36.1カ月, EIS群は同42カ月, 23.7カ月であった.TOPS群の観察期間中のGV再発率は0%であったが, EIS群では24カ月で22%, 41カ月で43%にGV再発を認めた.食道静脈瘤の再発率は36カ月でTOPS群は26%, EIS群で38%と有意差を認めなかったが, 再出血率ではTOPS群で76カ月間で5%, EIS群で41カ月間に66%と有意にTOPS群が低率であった.生存率では両群に差を認めなかった.以上よりTOPSはEISと比べ生存率の差はないが, GV再発率, 再出血率は極めて低率でありTOPSはGV症例においてQOLの点で優れた治療法と考えられた.