日本門脈圧亢進症学会雑誌
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Editorial
原著
  • ―warfarinとの比較―
    長沖 祐子, 相方 浩, 茶山 一彰
    2018 年 24 巻 4 号 p. 224-230
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル 認証あり

    【目的】肝硬変合併門脈血栓症に対し,Xa阻害剤edoxabanの有効性,安全性についてwarfarinと比較検討を行った.

    【対象と方法】肝硬変合併門脈血栓症64例.ダナパロイドNaを2週間投与後,warfarin 30例/Xa阻害剤34例に対して溶解療法施行した.門脈血栓評価は開始前,ダナパロイドNa投与終了時,6か月後にdynamic CTにて血栓volumeを測定した.

    【結果】warfarin群での治療開始前,ダナパロイドNa投与後,6か月後の血栓volume変化は3.7 cm3,1.4 cm3,2.7 cm3であり溶解療法中にもかかわらず6か月後には有意に血栓増悪を認めた一方,Xa阻害剤群での血栓volume変化は3.8 cm3,1.7 cm3,0.4 cm3であり6か月後も良好な縮小効果を示した.6か月後の血栓溶解奏功に寄与する独立因子はXa阻害剤投与であった.warfarin投与群では2例(7%)が食道静脈瘤からの出血を認め,Xa阻害剤投与群で4例(12%)が下部消化管出血をきたした.

    【結語】肝硬変合併門脈血栓症に対するXa阻害剤edoxabanによる溶解療法はwarfarinに代わる薬剤として血栓溶解効果が期待できる可能性が示唆された.

臨床研究
  • 佐藤 俊輔, 村田 礼人, 廿楽 裕徳, 玄田 拓哉
    2018 年 24 巻 4 号 p. 231-236
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル 認証あり

    門脈血栓症は肝硬変の重要な合併症のひとつで抗凝固療法が行われるが,治療方法や成績については不明な点も多い.そこでアンチトロンビン・製剤とダナパロイドナトリウムによる抗凝固療法を行った肝硬変合併門脈血栓症25例を対象に,門脈血栓症の現状と治療成績を検討した.背景肝はアルコール性肝硬変(8例)や,Child-Pugh Cの肝予備能不良例(14例)が多かった.診断に至った契機は腹水貯留が12例と最多だったが,無症状も5例に認められた.治療成績は完全消失6例,縮小10例,無効9例で,完全消失と縮小を合わせた有効率は64.0%だった.治療効果別に患者背景を比較すると,無効例に肝予備能不良例が多かった.治療効果別に予後を検討した結果,有意差は認めないものの3か月生存率が有効群81.3%に対し無効群44.4%と著しく不良だった.門脈血栓症の治療成績は比較的良好だったが,肝予備能の影響を受けることから早期に治療すべきと考えられた.

症例報告
  • 鈴木 浩之, 斎藤 聡, 藤山 俊一郎, 鈴木 義之, 熊田 博光
    2018 年 24 巻 4 号 p. 237-241
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル 認証あり

    門脈圧亢進症治療における肝移植は,門脈圧亢進症の原因となる肝硬変の根治可能な外科的治療法だが,生体肝移植後に合併していた門脈圧亢進症および門脈側副血行路の長期的な予後は明らかではない.2症例はともに50歳代男性.2004年に右葉グラフトを用いた生体肝移植を施行された.移植後14年時点における腹部超音波検査では門脈血流は求肝性の定状流であり,超音波エラストグラフィによる肝硬度測定では5~6 kPaで推移し,MR Laparoscopyで肝表面は平滑であった.上記より移植肝は肝硬変に至ることなく,さらに門脈圧亢進症も改善していると判断した.しかしMR Portographyでは移植後14年時点までの経過で,門脈側副血行路径ならびに脾臓径は縮小することなく残存しており,生体肝移植により門脈圧亢進症は改善するものの,一度拡張した側副血行路径および脾腫は長期的に残存しうることが示唆された.

  • 川島 万平, 牧野 浩司, 丸山 弘, 横山 正, 上田 純志, 高田 英志, 中野 茂, 吉田 寛
    2018 年 24 巻 4 号 p. 242-245
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル 認証あり

    血管内治療が不可能な巨大側副血行路を有するシャント脳症に対して外科的短絡路分流術が有効だった1例を経験した.症例は60代男性.背景肝はC型肝硬変とアルコール性肝硬変.慢性腎不全で透析中.内服治療抵抗性の肝性脳症の診断で紹介された.初診時はIII度脳症であり,2週間で3回のIII度脳症を繰り返した.肝予備能はChild-Pugh score 7点と保たれていたが,門脈血流は遠肝性であり長径5 cmに及ぶ脾腎短絡路の形成を認めた.シャントを伴う慢性再発型の肝性脳症と診断し短絡路閉鎖を検討したが,透析症例であり腹水コントロールに難渋することが予想された上,短絡路は最大径5 cmのため血管内治療によるコントロールは不能であった.手術療法を選択し,短絡路を温存して脾静脈切離(分流術)を施行した.術後12か月が経過するが顕性脳症は見られず職場復帰も果たし経過良好である.巨大側副血行路によるシャント脳症へのアプローチとして示唆に富む症例と考え報告する.

  • 千代田 武大, 金子 順一, 國土 典宏, 長谷川 潔
    2018 年 24 巻 4 号 p. 246-251
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル 認証あり

    症例は43歳女性.他院で門脈再建を伴う膵全摘術を施行された.3年後に下血を来し肝外門脈閉塞と下行結腸静脈瘤を指摘されB-RTO(balloon occluded retrograde transvenous obliteration)を施行された.その2年後に食道静脈瘤が破裂しEVL(endoscopic variceal ligation)を施行されたが,その後も下血を頻回に繰り返し当科を紹介された.ダブルバルーン小腸内視鏡検査を施行したところ出血点は胆管空腸吻合部静脈瘤と考えられた.本人へ説明し同意を得たうえで,遠位回結腸静脈と右卵巣静脈を吻合する外科的腸間膜静脈-体循環シャント造設術を施行した.術後1年半の間,消化管出血,シャント閉塞または肝性脳症を認めていない.続発性肝外門脈閉塞症に伴う難治性の異所性静脈瘤出血に対して外科的シャント造設は有効であった.

テクニカルレポート
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