日本門脈圧亢進症学会雑誌
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肝性脳症に対する逆行性経静脈的脾静脈分流術の試み
岩崎 隆雄田辺 暢一蒲 比呂子福島 耕治山川 暢山極 洋子鈴木 穰西岡 可奈下瀬川 徹豊田 隆謙
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1999 年 5 巻 4 号 p. 316-318

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抄録
脾腎シャントによる肝性脳症に対する短絡路温存門脈-大循環分流術1) は, 有用な治療法であるが, 肝萎縮が進行し, 経皮経肝的な門脈穿刺が困難な症例には施行が困難である.このような症例に対し, 腎静脈側から逆行性にアプローチし, 脾静脈にコイルを留置する逆行性経静脈的脾静脈分流術Retrograde Transvenous Splenic vein Splitting (RTSS) を考案, 施行した.B-RTOと同様にアプローチし, B-RTV施行後, 脾腎シャント閉鎖前と閉鎖後の肝静脈圧較差を比較し, 圧上昇が10cmH20以上だった一例にRTSSを施行した.術後血中NH3値は下降し, 肝性脳症の著明な改善をみた.もう-例は, ガイドワイヤーは脾腎シャントから逆行性に門脈右枝まで挿入可能であり, 手技的にRTSSは十分に可能であったが, 圧上昇が10cmH20以下だったのでB-RTOを選択した.RTSSはシャント脳症に対する極めて有用な治療法となりうると考えられた
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