抄録
2011年4月の日本小児血液・がん学会の発足と時を同じくして,日本小児血液・がん学会専門医制度はスタートした.2014年秋には第1回の専門医試験が行われ,待望の小児血液・がん専門医が誕生する.少子化時代を迎えた我が国において,小児医療全般のあり方について,様々な視点から議論が行われている.“専門医”についても,社会から,その資質について鋭い指摘がなされるようになり,学会が認定してきた専門医制度についても第3者機構による認定へと姿を変えようとしている.このような背景のなかで,小児血液・がん専門医制度設立の経緯,そして現状を検証し,そして今後,どのような方向を目指すのかについて論じる.いずれにしても,医療の質の向上に貢献し,一人でも多くの難治性疾患に苦しむ子どもたちやAYA世代の人たちを後遺症のない治癒に導くこと,そして被医療者の視点を忘れない,そして願わくば,私たち小児血液・がん医療にかかわる医療者・研究者の日常のQOLの向上も図れる,公平・公正で,実施可能な制度であるべきであろう.