日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
化学療法中の骨減少症に対してビスフォスフォネート製剤を開始した小児急性リンパ性白血病の3症例
野村 優子西川 拓朗岡本 康裕河野 嘉文廣瀬 伸一
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2016 年 53 巻 5 号 p. 474-476

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抄録

小児の急性リンパ性白血病(ALL)では骨減少症を合併しうる.小児におけるビスフォスフォネート(BP)の使用は増えているが,化学療法中のBPの安全性や有効性は確立されていない.今回,九州山口小児がん研究グループALL-96およびALL-02に登録した小児B前駆型ALLのうち,化学療法中にBPを使用した3症例を報告する.3例のALL発症時年齢は3(9歳時に再発),11,16歳で,いずれも維持療法中の11(第2寛解期),13,19歳時に骨減少症と診断された.週1回のBP内服(アレンドロン酸35 mg,またはリセドロン酸17.5 mg)を30〜72か月以上行ったが副作用は認めなかった.2例では,Zスコアが–2.4から–0.2,–3.7から–1.4へと改善した.全例で予定の化学療法を終了し,3年〜5年7か月間寛解を維持している.化学療法中でもBPは安全に使用することができた.

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© 2016 日本小児血液・がん学会
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