症例は移植時3歳の男児.生後7か月時に全身性BCGリンパ節炎の発症を契機に慢性肉芽腫症(p67phox変異)と診断された.静注busulfan,fludarabine,ウサギ抗胸腺細胞グロブリンの前処置にて非血縁HLA適合ドナーから骨髄移植を施行した.Busulfanは総AUC 65~70 mg/L×hrを目標として血中濃度に基づき投与量を調整し,計18.8 mg/kgが投与された.移植後速やかな造血回復が認められ,継時的なキメリズム検査ではday 69以降は完全キメラを維持している.重篤な治療関連合併症は認めず,移植後1年9か月が経過し無病生存中である.性腺機能障害などの晩期合併症については長期間の経過観察が必要であるが,本前処置は拒絶リスクの高い非腫瘍性疾患に対する造血細胞移植の前処置として非常に有用であると考えられた.