日本小児血液・がん学会雑誌
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原著
小児がん経験者の入院中から復学後における学習上の困難の実態
永吉 美智枝早川 晶前田 美穂副島 尭史吉備 智史
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2023 年 60 巻 1 号 p. 27-33

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抄録

本研究は,小児がん経験者(以下,経験者)の身体・心理社会的晩期合併症が復学後の学校生活に影響を及ぼす困難と支援の実態を明らかにすることを目的とした.復学を果たした経験者を対象にwebまたは質問紙による無記名のアンケート調査を2021年1~5月に実施した.有効回答が得られた16名を分析対象とした.診断時の年齢の中央値は11.5(8–17)歳,院内学級への転籍者は11名であった.入院中の一日の学習時間数の中央値は3時間,9名が退院後に在宅で過ごしていた期間の中央値は2(1.5–3)か月間であった.復学後,集中力・記憶力の低下と思うような学習成果が得られない,成績の悪化という認知機能に関わる困難を感じた経験者は10名で,7名が復学後1年未満,3名が復学後1~2年に学習上の問題を生じていたが,教員に相談したのは1名のみで,6名は問題解決できなかった.体育では9名(56.3%)が参加できず,体育に関する問題は3名が復学後6年以上経過した時期に生じていた.問題が解決されない要因として,復学後に生じた問題がタイムリーに本人から教員へ相談できない状況があると思われた.経験者は学習の補完に加え,周囲への適切な説明と心理的配慮,相談窓口の設置を求めている.経験者が必要な時に,困難について相談できる教員への教育と医療と学校保健,病弱教育専門機関が連携した支援体制の構築が急務とされる.

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© 2023 日本小児血液・がん学会
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