2024 年 15 巻 9 号 p. 1187-1194
はじめに:本研究の目的は,非侵襲的であるデジタルカメラ撮影によるSVA(デジカメSVA)の信頼性およびX線との関連性を検証することである.
対象と方法:対象は,健常者6例および脊柱後弯症患者8例である.デジカメSVAは立位にてC7棘突起,両上後腸骨棘の中点にマーカーを装着して撮影した.その後,Image Jを使用してデジカメSVAを算出した.
統計解析は,級内相関係数(ICC),Spearmanの順位相関係数を用いた.
結果:健常者6例でのデジカメSVAの「マーカー装着から撮影」では,ICC(1,1)=0.83~0.84,ICC(2,1)=0.93~0.97であった.また,脊柱後弯症患者8例での「Image Jでの測定」では,ICC(1,1)=0.99,ICC(2,1)=0.99であった.
デジカメSVAと立位全脊柱X線側面像によるSVAの間に中等度の相関を認めた(rs = 0.86~0.90).
結語:デジカメSVA評価は,高い検者内・検者間信頼性があり,X線とも中等度の相関を認めた.簡便かつ非侵襲的であり,頻回に測定可能であることから,経時的変化の追跡や理学療法の効果判定が可能と考える.