Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
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Editorial
総説
  • 酒井 義人, 若尾 典充, 松井 寛樹, 富田 桂介
    2021 年 12 巻 5 号 p. 686-693
    発行日: 2021/05/20
    公開日: 2021/05/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:高齢者に多い慢性腰痛ではサルコペニアの頻度が高いことが報告されているが,筋減少と慢性疼痛を関連づける医学的根拠は乏しく,老化における腰痛発生の機序は未解明である.高齢者慢性腰痛患者の骨格筋を含む身体組成と脊椎矢状面アライメントを評価した.

    対象と方法:高齢慢性腰痛患者195例(平均79.1歳)を対象に,血液生化学,ビタミンD(VD),DXA法による体組成測定,脊椎アライメント評価,MRIで体幹筋面積を計測し,慢性腰痛のない高齢者対照群と年齢,性別を調整した傾向スコアマッチングにより比較した.

    結果:慢性腰痛では有意にVD低値,赤血球容積分布幅(RDW)高値であり,四肢骨格筋量の低値,脂肪量の高値,体幹筋量の低値を認めた.椎間板及び終板変性では両群間で有意差は認めず,脊椎アライメントでは慢性腰痛で腰椎前弯減少,矢状面バランス異常,骨盤脊椎不均衡を認めた.

    結語:高齢者慢性腰痛では老化の指標であるRDWが高値であった.慢性腰痛ではVD欠乏を伴うことが多く疼痛閾値に影響を与えていると考えられ,加齢に伴う骨格筋量の減少と脊椎バランス異常が腰痛に関連している可能性がある.

原著
  • 尾立 征一, 四方 實彦, 山村 知, 岡畠 章憲, 川口 慎治, 田中 千晶
    2021 年 12 巻 5 号 p. 694-702
    発行日: 2021/05/20
    公開日: 2021/05/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:頚椎前方術後C5麻痺に関して椎体亜全摘と椎間除圧の違いに焦点を当てた報告は無い.

    対象と方法:C4/5を手術椎間に含んだ839症例を対象として,C5麻痺発症のリスク因子を調査し,特に椎体亜全摘と椎間除圧の組み合わせがC5麻痺発症に及ぼす影響を検討した.

    結果:C5麻痺は57例(6.8%)で発症し,麻痺発症の有無で2群に分けて比較した.麻痺群で男性が多く,年齢が高く,手術椎間数が多かった.手術椎間数が増えるほど麻痺発生は高頻度であった.C4/5椎間に関わる除圧は4パターンに分けられたが,C5麻痺発症率はC4とC5椎体亜全摘を行った場合に最も高く(10.1%),C4/5椎間除圧を行った場合が最も低かった(4.1%).独自に除圧組み合わせスコアを創り結果の分析に用いたところ,高スコアの術式であるほど麻痺は高率に発症していた.ロジスティック回帰分析では,性別(男性),除圧組み合わせスコア,年齢が関連因子として挙げられた.

    結語:C5麻痺は,高齢・男性・多椎体亜全摘症例で発症しやすく,C4/5椎間除圧症例では発症頻度が低いことから,椎体亜全摘後の過剰な硬膜拡大と固定椎間短縮による椎間孔狭窄の関与が示唆された.

  • 大場 哲郎, 大場 悠己, 藤田 康稚, 小田 洸太郎, 田中 伸樹, 波呂 浩孝
    2021 年 12 巻 5 号 p. 703-708
    発行日: 2021/05/20
    公開日: 2021/05/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:成人脊柱変形(ASD)は運動機能障害の原因となるが,ロコモティブシンドロームとの関与は不明である.手術加療を要したASDを対象としてロコモの頻度,脊椎骨盤パラメータとの関与,術後の2年時までの変化について検討した.

    対象と方法:女性のASDに対して下位胸椎レベルから骨盤までの矯正固定術を施行し2年以上経過観察し,ロコモとサルコペニアの評価項目を計測し得た47例を対象とした.術前,術後1年,2年時に立ち上がりテスト,2ステップテスト,ロコモ25アンケートを施行してロコモ度を評価した.術前・術後2年時の脊椎骨盤パラメータとロコモ度の相関を求めた.

    結果:術前全症例がロコモで91%は最も進行したロコモ度3であった.術後2年時にロコモ度3の割合は55%までに改善した.脊椎骨盤パラメータのうちsagittal vertical axis(SVA)が術前ロコモ進行度と相関した.術後ロコモ25で歩行能力に関与した項目で改善し,パンツやズボンの着脱のしやすさは増悪した.

    結語:ASDには重度ロコモを持つ割合が高く,手術により改善する項目と改善しない項目が明らかになったが,総合的にロコモの頻度と進行度は改善された.

  • 内山田 修一, 稻田 充, 早川 高志, 山中 真徳
    2021 年 12 巻 5 号 p. 709-713
    発行日: 2021/05/20
    公開日: 2021/05/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:近年,各科で撮影した画像から他科の疾患が発見され,その読影レポートの未読,確認漏れによる治療の遅れが問題となっている.本研究の目的は,脊椎疾患を疑い撮影した画像検査における他科疾患に関して調査することである.

    対象と方法:2018年6月から2019年5月までに脊椎疾患に対して撮影した画像検査5,149件(MRI 3,453件,CT 1,696件)を対象とした.放射線科医による読影レポートで他科疾患の有無を確認し,該当科へのコンサルトの有無とその疾患に関して後ろ向きに調査した.既存疾患は除外し,新規疾患のみとした.

    結果:読影レポートで319件の他科疾患が発見され,そのうち103件が他科へコンサルトされ32件に検査・治療がされた.

    考察:画像検査において当該疾患以外に発見される他科疾患を認識するのは困難で,読影レポートで指摘されるもそのレポートが未読となることも少なくない.当科では(1)放射線(2)担当医師(3)看護師で連携を取り,3重の確認をすることで読影レポートの未読の対策を行っている.このシステムを導入後,未読のレポートはなくなった.読影レポートの未読問題は整形外科医だけでなく,多職種での対策が有用である.

  • 生熊 久敬, 廣瀬 友彦
    2021 年 12 巻 5 号 p. 714-722
    発行日: 2021/05/20
    公開日: 2021/05/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:びまん性特発性骨増殖症(DISH)を伴う胸腰椎骨折において2枚の椎体終板を貫通するスクリュー(TSD)を用いた後方固定と従来法の手術成績を比較検討した.

    対象と方法:TSD併用群17例,経皮的椎弓根スクリュー(PPS)を用いたPPS群13例,open法で椎弓根スクリュー(PS)を用いたOpen PS群8例の3群間で手術成績を比較検討しスクリュー挿入トルク(TSD 33本 vs PPS 15本)も追加調査した.

    結果:結果をTSD併用群,PPS群,Open PS群の順に示す.固定椎間数は4.5椎間,5.3椎間,7.1椎間,スクリュー使用本数は8.1本,12.1本,12.7本,手術時間は165.8分,151.6分,219.7分,術中出血量は72.5 ml,115.4 ml,453.7 mlであった.スクリューの緩みはPPS群1例,PS群1例に認め,骨癒合は最終的に全例で得られていた.スクリュー挿入トルクはTSDが175.3 N・m,PSが141.8 N・mで有意にTSDが高値を示した(P<0.033).

    結語:TSDはDISHを伴う椎体骨折において椎弓根スクリューよりも強いアンカーになり手術侵襲の低減も期待できる.

  • 圓尾 圭史, 有住 文博, 楠山 一樹, 吉江 範親, 楠川 智之, 橘 俊哉
    2021 年 12 巻 5 号 p. 723-728
    発行日: 2021/05/20
    公開日: 2021/05/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:本研究の目的は当院で行った成人脊柱変形(ASD)手術後のmechanical complications(MCs)の予測因子を調査することである.

    対象と方法:当院で行ったASD術後2年以上経過した51例を対象とした.MCsはproximal junctional kyphosis(PJK),ロッド折損,インプラント関連合併症とした.患者因子,手術因子,単純X線像パラメータに加えglobal alignment and proportion(GAP)スコアを調査した.多変量解析はCox回帰分析を用いた.

    結果:MCsは59%に認め31%が再手術を要した.PJKは33%(再手術31%),ロッド折損は31%(再手術69%)に認めた.単変量解析では3 column osteotomy,術前sagittal vertical axis,術後GAPスコアが予測因子となり,Cox回帰分析ではGAPスコアが独立した予測因子であった.GAPスコア8点以上が再手術のカットオフ値であった.

    結語:良好な矢状面アライメント獲得がMCsを低減させるために重要である.

  • 長谷川 浩士, 浅野 多聞, 麻生 正, 田中 賢, 長沼 靖, 嶋村 之秀, 根本 信仁, 根本 信太郎, 鈴木 智人, 赤羽 武, 高木 ...
    2021 年 12 巻 5 号 p. 729-734
    発行日: 2021/05/20
    公開日: 2021/05/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:骨転移は肺癌に生じやすいが,分子標的薬の導入により肺癌の治療成績は大きく変化している.

    対象と方法:肺癌の遺伝子変異を含めた組織型別に骨転移の進展や予後について検討した.

    結果:小細胞癌は原発の診断から短期間で複数骨に転移していた.EGFR/ALK遺伝子変異陽性腺癌の多くはチロシンキナーゼ阻害剤が投与されており,骨転移発見までは長く多発性病変で発見されるが,骨転移後の予後も長い傾向であった.

    結語:肺癌の組織型毎の骨転移の特徴は,整形外科的治療介入の指標になりうると考えられた.

  • 上野 正喜, 古舘 武士, 田島 佑輔, 鳥海 恵美, 吉井 亜希
    2021 年 12 巻 5 号 p. 735-743
    発行日: 2021/05/20
    公開日: 2021/05/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:RomosozumabのBKP術後続発性骨折に対する予防効果を評価しTeriparatide等と比較した.

    対象と方法:320例を後ろ向きに解析し,BKP周術期からの骨粗鬆症治療として,Romosozumab(R群:34例),Daily Teriparatide(D群:62例),Weekly Teriparatide(W群:122例)を投与した群と,ControlとしてAlendronateを投与した群(C群:101例)で,1年間の続発性椎体骨折発生率,骨密度変化率などを比較した.

    結果:続発性骨折発生率は,R群8.6%,D群8.1%,W群6.6%,C群13.9%であった.腰椎骨密度は,R群は4ヶ月,8ヶ月,1年の時点で,D群は1年の時点で,C群より有意に上昇した.

    結語:Romosozumabの続発性骨折発生率は,Teriparatide 2剤と差はなかったが,これらの使用は,主に遠隔椎体骨折の発生率を低減できる可能性が示唆される.Romosozumabは腰椎に対し最も高い骨密度増加作用を示し,より低骨密度な症例で有用であると考えられる.

  • 若尾 典充, 酒井 義人, 松井 寛樹, 富田 桂介, 室谷 健太
    2021 年 12 巻 5 号 p. 744-750
    発行日: 2021/05/20
    公開日: 2021/05/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:2012年椎体骨折評価基準が改訂され偽関節は発症後12ヶ月経過しても治癒にいたる可視的な兆候が認められないものと明文化された.しかし偽関節の臨床像は不明な点が多い.

    対象と方法:2012年1月~2019年2月にOVFとして入院治療した全684例中一年後まで経過観察可能であった551例(平均年齢81.9±7.4歳,男性:女性=152:399)を対象とし,偽関節の発生頻度・危険因子・ADLへの影響を調査した.危険因子は目的変数を一年後の偽関節,説明変数を全身骨密度,SMI,性別,年齢,骨粗鬆症治療歴,認知症の有無,骨折椎体後彎角,後壁損傷有無,入院前生活自立度,ステロイド内服歴,アルブミン値,eGFR,糖尿病有無,DISHの有無に設定し多変量解析を施行した.ADLへの影響は歩行能力,日常生活自立度に対して偽関節が影響をおよぼしているかを検討した.

    結果:一年後に54例(9.8%)が偽関節と診断された(平均年齢81.3±6.5歳,男性:女性=18:36).偽関節化に有意に影響を及ぼす因子は多変量解析の結果,後壁損傷有のみであった(OR=2.059,p=0.039).偽関節群と非偽関節群で一年後歩行能力,日常生活自立度に有意差はなかった.

    結語:OVF後偽関節の発生率は9.8%,その危険因子は後壁損傷であった.

  • 矢倉 一道, 石原 陽平, 神﨑 浩二, 豊根 知明, 森下 益多朗
    2021 年 12 巻 5 号 p. 751-758
    発行日: 2021/05/20
    公開日: 2021/05/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:腰椎疾患に対し術前に施行した脊髄造影/脊髄造影後CT(CTM)とMRI所見を評価し,病態把握や術式選択における脊髄造影/CTMの有用性を検討した.

    対象と方法:当院で脊髄造影を施行した腰椎疾患106例を対象とし,A群:MRIで把握できなかった所見を認め,手術に至った症例・術式の再検討を要した症例群,B群:MRIで把握できなかった所見を認めたが,術式変更を要さなかった症例群,C群:MRIに対し新たな所見を認めなかった症例群に分類し検討した.

    結果:A群:7例(動的狭窄を認め除圧高位を追加した症例:3例,不安定性を認め除圧固定術に変更した症例:3例,CTMで上関節突起症候群と診断がつき手術に至った症例:1例),B群:5例(黄色靭帯の骨化巣を認めた症例:3例,X線とMRIで確認できなかった腰椎分離症を認めた症例:1例,神経根奇形の合併を確認できた症例:1例),C群:94例であった.合併症は頭痛を4例,皮膚症状を1例認めたが重篤な合併症は認めなかった.

    結語:脊髄造影/CTMは動的因子や骨性成分による神経圧迫の把握に優れ,腰椎疾患の術式立案に際し有用な検査であると考えられた.

  • 大山 翔一朗, 高橋 真治, 寺井 秀富, 星野 雅俊, 辻尾 唯雄, 中村 博亮
    2021 年 12 巻 5 号 p. 759-765
    発行日: 2021/05/20
    公開日: 2021/05/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:本研究の目的は脊柱インバランスが進行する高齢者の特徴を示すことである.

    対象と方法:Shiraniwa Study初年度,3年次のいずれにも参加した321名(男性133名,女性188名,平均72.9±4.9歳)を対象とした.全脊柱X線写真より計測したC7SVAより,≦40 mm,40 mm~95 mm,>95 mmの3段階に分け,2年の経過で1段階以上増悪したものを進行群とし,その特徴を評価した.

    結果:14.0%(45名)が進行群に該当した.ロコモ度2該当者は進行群で有意に多く(55.6%/28.0%,p<0.01),調整オッズ比2.35(95%信頼区間:1.08~5.12)と脊柱インバランス進行の独立した予測因子であった一方で,既存椎体骨折,椎間板変性,背筋力,サルコペニア有病率に有意差は認めなかった.また,体幹部重量に占める筋量が進行群で有意に低かった(男:74.1%/78.2%,p=0.02,女:63.7%/70.9%,p<0.01).

    結語:ロコモ度2は脊柱インバランス進行の予測因子であり,進行群で体幹部重量に占める筋量が有意に低かった.

  • 蒲田 久典, 辰村 正紀, 江藤 文彦, 奥脇 駿, 中川 司, 山崎 正志
    2021 年 12 巻 5 号 p. 766-772
    発行日: 2021/05/20
    公開日: 2021/05/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:多変量ロジスティック回帰分析を用いて腰椎分離症の保存療法後に偽関節化する危険因子を検討したので報告する.

    対象と方法:2014年4月から5年間,腰椎分離症と診断し保存療法を行った高校生以下の連続した患者145例における196分離を対象とした.性別,年齢,罹患高位,CT水平断による病期,対側椎弓の病変の有無および病期,腰仙椎におけるSBOの有無を調査し,保存療法後に各要素と骨癒合の関連を検討した.

    結果:単変量解析で有意だった高位,病期,対側病期,SBOを説明変数とした多変量解析では,進行期,対側病変の進行が独立した危険因子であった.多変量解析より,進行期,対側超初期+対側初期+対側進行期を小危険因子,対側終末期を大危険因子とすると,危険因子の個数による骨癒合率は危険因子なし99%,小危険因子1個86%,小危険因子2個66%,大危険因子1個50%,大危険因子1個小危険因子1個11%であった.

    結語:腰椎分離症の保存療法後に偽関節化する危険因子は,進行期,対側病変の進行であった.

  • 勢理客 久, 比嘉 勝一郎, 屋良 哲也
    2021 年 12 巻 5 号 p. 773-779
    発行日: 2021/05/20
    公開日: 2021/05/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:椎間板内ガス像(IVP)は散見される所見であり,腰痛や腰椎機能に関与するとの報告もある.今回,IVPと臨床所見との関連を検討した.

    対象と方法:当院で施行した腰部脊柱管狭窄症(変性辷り症を含む)219例における術前X-pおよびCTにおいて認めたIVPと腰痛,下肢痛およびしびれのVASおよびJOABPEQを用いて臨床所見との関連について検討を行った.

    結果:X-p評価では33.3%の症例,8.3%の椎間板に,CT評価では71.2%の症例,30.0%のIVPを認めた.X-p,CTの評価においてIVPを有する症例の平均年齢は有意に高く,平均腰痛VASは高い傾向を示した.年齢群別における比較において,X-p評価では80歳以上群のIVPを有する症例のJOABPEQ腰椎機能はIVP無しのそれに比較し有意に低く,またCT評価では80歳以上群のIVPを有する症例のJOABPEQ疼痛関連はIVP無しのそれに比較し有意に低かった.腰痛VASにおいては80歳以上群,70~79歳群および32~59歳群でIVPを有する症例はIVPの無しの症例に比較し有意に高度であった.

    結語:椎間板内ガス像は年齢とともに増加し,椎間板内ガス像を有している症例はより高度な腰痛を有し,腰椎機能障害も高度であると考えられた.

  • 玉置 康之, 打越 顕
    2021 年 12 巻 5 号 p. 780-784
    発行日: 2021/05/20
    公開日: 2021/05/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:矢状面脊柱アライメントが腰部脊柱管狭窄症における後方除圧術の臨床成績に与える影響について検討した.

    対象と方法:対象は神経症状が主訴である腰部脊柱管狭窄症98例である.男性61例,女性37例,年齢は平均72歳,観察期間は平均11ヶ月であった.SVA 50 mm以下の51例をN群,51 mm以上の47例をK群とし比較検討した.

    結果:N群とK群のJOAscore改善率はそれぞれ平均57.7%,54.3%,腰痛VAS変化量は平均-16.8 mm,-28.3 mm,下肢痛VAS変化量は平均-19.2 mm,-42.4 mm,下肢しびれVAS変化量は平均-21.7 mm,-38.7 mmであった.JOABPEQ獲得点数では,疼痛関連障害は平均16.3点,32.5点,腰痛機能障害は平均5.8点,23.6点,歩行機能障害は平均22.7点,25.0点,社会生活障害は平均11.2点,25.7点,心理的障害は平均3.8点,14.4点であった.下肢痛VAS,腰痛機能障害は,K群が有意に改善していた.

    結語:矢状面アライメント不良でも神経症状が主訴であれば後方除圧術で良好な成績が得られる可能性がある.

  • 竹内 拓海, 山岸 賢一郎, 河野 仁, 小西 一斉, 辻 将明, 佐野 秀仁, 高橋 雅人, 市村 正一, 長谷川 雅一, 細金 直文
    2021 年 12 巻 5 号 p. 785-791
    発行日: 2021/05/20
    公開日: 2021/05/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:Minimally invasive spine stabilization(MISt)手術を行った,下位腰椎化膿性脊椎炎の術後成績を調査した.

    対象と方法:L4以下罹患で経皮的椎弓根スクリューによる後方固定を行った11例で,平均年齢は68.1歳,罹患高位はL4/5;6例,L5/S1;5例であった.

    結果:起因菌同定率は54.5%で,11例全例で骨癒合しテリパラチドは9例に使用されていた.Implant failure(IF)(-)は5例で,全例腸骨スクリュー(IS)が挿入されていたが,IF(+)は6例中3例でISが挿入されていた.矯正損失はIS(+)で平均4.4±4.1°,IS(-)で平均10.3±2.9°と,IS(+)で少ない傾向であった(p=0.05).罹患高位別に矯正損失角を比較すると,L4/5罹患例は平均8.5±3.8°,L5/S1罹患例は平均3.0±3.8°(p<0.05)で,有意にL5/S1で少なかった.

    結語:下位腰椎罹患で尾側アンカーが不十分だと矯正損失やIFが多く,ISの挿入と重度骨粗鬆症合併例であればテリパラチド使用も検討するべきと考えた.

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