Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
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Editorial
総説
  • 大鳥 精司
    2024 年 15 巻 6 号 p. 813-820
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/20
    ジャーナル フリー

    椎間板性腰痛は一定の頻度で存在する.以前からその疼痛機序,診断,治療が議論されてきた.疼痛機序として,感覚神経の存在,感作するサイトカイン,不安定性が指摘されてきた.診断としてはゴールドスタンダードはMRIであるが,最近は各種新規MRIやPETが開発されている.また神経根ブロックや椎間板ブロックにより診断する方法もある.治療としては運動療法や薬物療法が第一選択となる.難治性で診断が確実な場合,手術療法も選択されるが未だ議論を残すところである.本論文ではこの辺りを記載したい.

  • 金岡 恒治, 森戸 剛史, 江崎 日奈子
    2024 年 15 巻 6 号 p. 821-826
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/20
    ジャーナル フリー

    仙腸関節障害の病態は明らかにされていないが,仙腸関節の機能的安定機構としての骨盤内在筋(腹横筋や骨盤底筋)が骨盤外在筋より遅れて活動することを繰り返すことで,構造的安定機構である後仙腸靭帯への負荷が増加することによる障害と推察される.その症候としては,骨盤輪に負荷が加わる動作や姿勢による疼痛の誘発,骨盤輪への各種ストレステスト陽性所見,後仙腸靭帯等の圧痛が挙げられる.また我々の調査においては自動下肢伸展挙上時の下肢位置覚が低下していること,また背臥位膝伸展位では足関節背屈力の低下を認めないにもかかわらず膝立て位では低下することを観察している.これらの症候を呈する患者に対しては仙腸関節障害を疑い,後仙腸靭帯部へのブロック注射を試行し,症状が一時的にでも軽減した場合には仙腸関節障害と診断する.本障害に対してはさまざまな治療方法が行われているが,超音波画像診断装置を用いて腹横筋の単独での収縮様式を指導し,動作開始前に骨盤外在筋に先んじて腹横筋が収縮するモーターコントロールを学習させることが有用と考える.

原著
  • 添田 沙織, 森本 雅俊, 杉浦 宏祐, 手束 文威, 山下 一太, 藤谷 順三, 西良 浩一
    2024 年 15 巻 6 号 p. 827-832
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/20
    ジャーナル フリー

    背景:Type 1 Modic変化は腰痛をもたらす.機械的刺激がその発生要因の一つであるが,特定の動きがもたらす影響については報告が少ない.本研究では,特定の動作を反復して行うことが多いトップアスリートのModic変化の発生部位を調査し,スポーツ毎の局在について検討した.

    方法:まず,腰椎モデルの3D有限要素解析を用いて各動作において椎体終板のストレスが最も加わる部位を調査した.次に,Type 1 Modic変化による腰痛(17椎間)と診断されたトップアスリートのMRI STIR画像を用いて,信号変化が生じている部位を前方・後方・右側・左側と全体の5群に分類した.

    結果:有限要素解析の結果は,屈曲した方向で終板ストレスが増加していた.MRIによる局在の調査では,右利きゴルファーでは全例右側に発生していた.また格闘技や競馬騎手も,最も競技中に行われる動作とModic変化発生部位と関連していた.このように競技特異性がみられたものは11椎間(65%)であった.

    結語:頻回に行われる動作はModic変化の発生につながりやすく,その局在も特異的な部位に発生しやすいことが明らかになった.この知見は,Modic変化発生機序の解明や,診断・治療に役立てられると考えられた.

  • 楊 寛隆, 村上 秀樹, 堀井 高文, 川村 竜平, 山部 大輔, 鈴木 忠, 千葉 佑介, 土井田 稔
    2024 年 15 巻 6 号 p. 833-838
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:経時的なSchmorl結節(Schmorl's node;SN)のサイズ変化とModic change(MC)の変化,および腰痛との関連を検討した.

    対象と方法:2004年から2020年までに腰椎MRIを撮影し2年以上の経過で再評価可能であった症例(検討①),および,筋・筋膜性,椎間関節性,骨性,椎間板性,神経原性など腰痛の原因が特定できず,SNまたは随伴するMCが腰痛の主因と疑われた症例(検討②)を対象とし,SNとMCのMRI所見を比較検討した.

    結果:(検討①)最終観察時,135人SN総計321椎間中,縮小58椎間(18.0%),不変164椎間(50.9%),増大65椎間(20.2%),新規発生34椎間(10.6%),消失1椎間(0.3%)であった.このうち,縮小例,増大例,新規発生例ではMC+が有意に多かった(P<0.05).一方,不変例ではMC-が有意に多かった(P<0.001).(検討②)最終観察時,27人SN65椎間中,縮小14椎間(21.5%),不変30椎間(46.2%),増大16椎間(24.6%),新規発生5椎間(7.7%)であった.このうち,MC1を有するSNとMC-のSNを比較すると,MC1を伴うSN増大例とSN新規発生例が占める割合はMC-の場合と比較して有意に多かった(増大例:MC1;53.3%,MC-;17.6%,新規発生例:MC1;26.7%,MC-;0%)(P<0.05).

    結語:増大あるいは新規発生するSNはMC,特にMC1の発生と関連しており,腰痛を長期化させる病態への関与が示唆された.

総説
  • 大久保 雄
    2024 年 15 巻 6 号 p. 839-843
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/20
    ジャーナル フリー

    体幹筋は四肢の筋とは異なる神経支配を受けていることから,随意的な筋収縮よりも協調的なモーターコントロール機能を担っている割合が高い.そのモーターコントロールを構築する上で重要な筋が深層に位置するローカル筋であり,腹横筋や多裂筋が該当する.筋活動様式は,1)early activity(先行的な活動),2)tonic activity(持続的な低い活動),3)phasic activity(爆発的な活動)の3つに大別され,その中でローカル筋は主にearly activityやtonic activityの活動様式を示し,四肢の運動の土台となる.一方,痛み刺激はローカル筋の機能不全を生じさせ,代償的な表層筋(グローバル筋)の過活動や椎間関節など関節へのストレス増加を引き起こす.よって,アスリートの運動療法において,受傷早期からローカル筋のモーターコントロールエクササイズを行い,適切なローカル筋の活動様式を獲得した後に大きな力を発揮させるリハビリテーションが腰痛予防において重要となる.

  • 葉 清規, 松田 陽子, 大石 陽介
    2024 年 15 巻 6 号 p. 844-853
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/20
    ジャーナル フリー

    腰椎疾患に対する運動療法の目的は,日常生活において,腰部組織への過剰なメカニカルストレスが生じる姿勢・動作を修正し,それを維持することである.

    ピラティスメソッドによる運動療法では,1)腰椎・骨盤帯を安定させて上肢・下肢運動を行い,様々な環境下でも腰椎の中間位(生理的前弯位)を維持し,2)胸椎可動性を高めて腰椎に加わるメカニカルストレスを分散させるエクササイズを施行する.即ち,安静時,運動時の腰椎中間位の維持と脊椎分節的可動性の向上が目的である.

    従って,ピラティスは腰痛に対する治療だけではなく,腰椎疾患術後の運動療法においても有効である可能性がある.臨床的効果に対しては今後検証する必要がある.

  • 成田 崇矢
    2024 年 15 巻 6 号 p. 854-859
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/20
    ジャーナル フリー

    脊椎疾患に対する運動療法において,胸椎と胸郭の役割は重要である.本稿では,胸郭の構成や関節,脊椎の可動性について解説する.①呼吸運動が脊椎伸展挙動に影響を与えていた第5腰椎分離症の1例,②オーバーヘッドスポーツ(飛込競技)の1例を挙げながら,胸椎・胸郭の機能不全が脊椎疾患に与える影響や胸椎・胸郭への評価,介入方法,運動療法について示す.また,胸椎・胸郭の回旋可動性の評価の具体的な方法を紹介する.胸椎・胸郭の機能を適切に理解し,運動療法に組み込むことで,脊椎疾患への効果的なアプローチが可能となる.

  • 笠舛 拓也, 西良 浩一
    2024 年 15 巻 6 号 p. 860-868
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/20
    ジャーナル フリー

    腰痛の発生頻度は一般人口だけでなくアスリートにおいても高い.腰痛によりスポーツ継続が困難となったアスリートに対し,競技復帰を支援し再発を予防するには,スポーツでは全身運動が求められることを踏まえ,腰部のみに着目するのではなく,腰部に隣接した関節からの影響を考慮した対応が必要となる.その際,Joint by Joint Theoryに基づいた関節の安定性と可動性を理解し診療に当たることが重要となる.胸骨,肋骨,胸椎から構成される胸郭では可動性が要求され,胸郭における可動性の低下は腰椎に対する安定性の低下を引き起こすことで腰痛発症の要因となり得る.特に,体幹の伸展運動や回旋運動において,胸郭における可動性は重要となる.腰痛発症に胸郭可動性が関連していると考えられるアスリートに対しては,評価から可動性低下を見つけ出し,機能改善を図るためのエクササイズが必要となる.一方で,胸郭の可動性やその運動パターンには個人差があり,正常可動域を規定することは困難である.よって,競技種目や腰痛発症に至ったと推察される動作から,胸郭可動性におけるどのような問題が腰痛発症に関連しているのか,選手各々に対して推察した上での評価や治療が求められる.

  • 岩前 真由, 高橋 真治, 寺井 秀富, 玉井 孝司, 星野 雅俊, 豊田 宏光, 鈴木 亨暢, 加藤 相勲, 馬野 雅之, 小林 祐人, ...
    2024 年 15 巻 6 号 p. 869-876
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/20
    ジャーナル フリー

    骨粗鬆症性椎体骨折は,最も頻度の高い骨粗鬆症骨折であり,患者のQOLやADLに影響を与える.椎体骨折の保存加療では,一般的に装具療法を選択することが多いが,現状そのエビデンスは乏しい.新鮮骨粗鬆症性椎体骨折に対しては装具治療を行うというのが一般常識化していることから,倫理的観点から装具を装着しない前向き研究は行うことが難しい.実際に装具の有無で装具の効果を検証した研究は極めて少ない.そこで我々は過去に装具なしのコホートと装具ありのコホートのデータを傾向スコアマッチングで比較し,装具の効果を検証した研究を実施した.本総説では過去の我々の研究も含めた装具に関する報告をもとに,OVFにおける装具の効果を総括したい.

  • 藤谷 順三, 西良 浩一
    2024 年 15 巻 6 号 p. 877-884
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/20
    ジャーナル フリー

    腰痛の運動療法としてピラティスが注目されている.しかし,本邦においてその効果は十分に検証されていない.そこで徳島大学では2021年11月より運動機能外科を中核に,徳島大学病院と連携する県内の5病院・2大学と「ピラティスによる運動療法の推進および効果検証プロジェクト」を開始した.

    徳島大学病院にて脊椎疾患の手術を受けた入院患者か,過去に手術を受けた再来患者のうち,本人の同意が得られた者は連携病院に入院(週6日,1日60~120分,2~4週間)もしくは通院(週1~2回,1回40分)し,Joint-by-Joint theoryに基づき腰椎の安定性向上と胸椎と股関節の可動性向上をねらいとしたピラティスを実施した.これらの運動療法は,ピラティス指導の教育を十分に受けた医師,理学療法士,作業療法士が行った.

    プロジェクト開始から2年間が経過し徐々に症例が得られている.腰椎後側弯症の73歳女性は,4週間のピラティス入院により痛みが消失した.さらにバランス機能が向上し,立位,座位,歩行時のアライメントも改善した.

    今後,連携病院とのネットワークを活用して症例を重ね,ピラティスによる運動療法の有効性を検証したい.

原著
  • 松田 陽子, 対馬 栄輝, 葉 清規, 大石 陽介, 村瀬 正昭
    2024 年 15 巻 6 号 p. 885-892
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:本研究の目的は,産褥期の産後腰痛患者に対する理学療法の効果を明らかにすることである.

    対象と方法:産後腰痛患者18例のうち,出産後2ヶ月未満の11例を産褥期群,出産後2ヶ月以上の7例を非産褥期群とした.理学療法は運動療法と生活指導を実施した.評価項目は,腰痛Visual Analogue Scale(以下,腰痛VAS)とOswestry Disability Index(以下,ODI)の障害度および下位尺度を,理学療法初回時,1ヶ月時,3ヶ月時に評価した.各群の理学療法経過の差について,線形混合モデルを用いて解析した(有意水準5%).また,有意な差がみられた水準については効果量rを算出した.

    結果:両群とも初回時と比較して1ヶ月時に,腰痛VAS,ODIの障害度,痛みの強さ,物を持ち上げること,立っていること,乗り物での移動は有意に改善し,その他の項目も3ヶ月時に有意な改善がみられた(p<0.05).理学療法初回時から3ヶ月時の効果量rは,産褥期群において腰痛VAS(r=0.9),ODIの立っていること(r=0.8)が高値であった.

    結語:産褥期の産後腰痛患者に対する理学療法の治療経過では,1ヶ月時から3ヶ月時に日常生活障害の改善がみられ,腰痛強度や立位保持の障害において高い改善度がみられた.

  • 松尾 智哉, 神田 裕太郎, 酒井 良忠, 由留部 崇, 黒田 良祐, 角谷 賢一朗
    2024 年 15 巻 6 号 p. 893-900
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:脊椎転移手術の術後合併症のリスク因子およびフレイルとの関連については未だ不明な点が多い.そこで我々は,フレイルを含めた術後合併症の危険因子を前向きに検討した.

    対象と方法:後方手術を施行した脊椎転移患者241例を対象とした.術後合併症はClavien-Dindo分類Grade ≧ IIを合併症ありと定義した.年齢,性別,BMI,原発巣,新片桐分類,フランケル分類,パフォーマンスステータス,術前放射線治療,術前化学療法,Spinal Instability Neoplastic Score(SINS),Modified Frailty index(mFI),糖尿病,及びアルブミン値を検討因子とし,単変量および多変量解析を行った(p < 0.05).

    結果:241例中47例(19.5%)に57の術後合併症が生じた.単変量解析にてp < 0.10であった,男性,術前放射線療法,mFI,フランケル分類,および術前分子標的薬を多変量解析に含めた.mFIのカットオフ値は0.23(感度;46.8%,特異度;79.9%)であった.多変量解析により,mFI ≧ 0.23(p = 0.003,オッズ比2.82)及び術前放射線治療(p = 0.049,オッズ比2.11)を独立した合併症発生のリスク因子として同定した.また,mFI ≧ 0.23は尿路感染症(p = 0.012)および肺炎(p = 0.037)と関連していた.

    結語:mFIと術前放射線治療は脊椎転移術後合併症の発生予測因子である.

  • 坂野 友啓, 長谷川 智彦, 大和 雄, 吉田 剛, 有馬 秀幸, 大江 慎, 井出 浩一郎, 山田 智裕, 黒須 健太, 渡邉 悠, 松山 ...
    2024 年 15 巻 6 号 p. 901-906
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:本研究の目的は,腰椎椎間板ヘルニアに対するコンドリアーゼ治療において疼痛がほぼ消失した著効例の頻度とその関連因子を調査することとした.

    対象と方法:腰椎椎間板ヘルニアに対してコンドリアーゼ治療を行い,1年以上経過観察可能であった93例(男性61例,女性32例,平均年齢45.6歳)を対象とした.臨床評価としてODI,VAS(腰痛,下肢痛)を,画像評価としてMRIを投与前,投与後1年時に評価した.1年時に下肢痛VAS≦1 cmを著効例とし,非著効例と比較検討した.また,多変量解析を行い危険因子を同定した.

    結果:手術移行例は13例(14.0%)で,著効例は49例(52.7%)であった.非著効例では,女性,同一椎間手術歴の割合が有意に高かった.また,罹病期間が有意に長かった.多変量解析にて罹病期間が独立した関連因子であった.

    結語:コンドリアーゼによる髄核融解術は52.7%に著効した.短い罹病期間の症例では大きな治療効果が期待できる.

  • 中谷 友洋, 峯玉 賢和, 寺口 真年, 中川 雅文, 山本 義男, 松尾 咲愛, 左近 奈菜, 畑中 凌太, 畑中 若菜, 坂田 倫哉, ...
    2024 年 15 巻 6 号 p. 907-913
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:手術後のせん妄は患者の転帰に悪影響を及ぼす可能性がある.しかし,脊椎手術におけるせん妄の発生率や危険因子,予防法に関する報告は少ない.本研究では,骨粗鬆症性椎体骨折に対する経皮的椎体形成術後における術後せん妄の発生率と危険因子ならびにせん妄に対する術後超早期離床プログラム(Kihoku-Super Early Ambulation Program;K-SEAP)の有効性について検討した.

    対象と方法:2018年1月から2023年5月の期間に経皮的椎体形成術を施行し,評価可能であった327例とした.せん妄の有無で二群に分け群間比較を行った.さらに,ロジスティック回帰分析を行い,せん妄発生に影響を与える要因を検討した.

    結果:せん妄の発生率は7%であった.せん妄群は,非せん妄群に比べ,高齢,男性,週末手術が多い,Mini-Mental State Examination(MMSE)のスコアが低い,K-SEAPの実施が少なかった.ロジスティック回帰分析によるとK-SEAPの有無(OR 0.21,95%CI 0.06~0.74),性別(男性;OR 3.55,95%CI 1.24~10.2),MMSE(OR 0.83,95%CI 0.76~0.90)がせん妄発生のリスク因子であった.

    結語:K-SEAPは,経皮的椎体形成術後における術後せん妄予防に有効であることを示唆した.今後は,入院期間の短縮や続発性骨折による再入院の予防等,医療費や予後に与える影響について検討する必要がある.

  • 山田 遥平, 加藤 仁志, 横川 文彬, 黒川 由貴, 清水 貴樹, 出村 諭
    2024 年 15 巻 6 号 p. 914-922
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:腰部脊柱管狭窄症(LSS)はロコモの主な原因疾患であるが,治療介入を検討すべきロコモ度3を対象とした手術成績や術後のロコモ度改善に関わる因子についての報告は十分でない.本研究では術前ロコモ度3を対象にロコモなどの運動機能を含む手術成績,術後のロコモ度改善に関わる因子に関して,術前の運動機能,フレイル,サルコペニア,栄養指標などを含め多面的に検討した.

    対象と方法:2016年1月から2021年4月における当科のLSS手術例のうち,術前ロコモ度3であった118例を対象とした.術後1年でロコモ度および運動機能が改善するか検討し,さらに術後1年時のロコモ度改善の有無で2群に分け,ロコモ度改善に関わる術前の因子について単変量および多変量解析で検討した.

    結果:術後1年で有意にJOABPEQだけでなく,体幹筋力,歩行速度などの運動機能が改善し,64例(54%)でロコモ度の改善が得られた.多変量解析の結果,ロコモ度を阻害する因子は片脚立位時間低値,歩行速度低下(1 m/s未満),馬尾障害型,腰椎手術歴であった.

    結語:術前ロコモ度3のLSSにおける術後ロコモ度改善を阻害する術前因子は片脚立位時間低値,歩行速度低下(1 m/s未満),馬尾障害型,腰椎手術歴であった.

  • 高木 啓, 木島 和也, 圓尾 圭史, 有住 文博, 都井 政和, 楠川 智之, 橘 俊哉
    2024 年 15 巻 6 号 p. 923-928
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:我々は腰椎椎間板ヘルニア(LDH)に対し経椎間孔的全内視鏡下椎間板摘出術(TF-FED)を行っている.全例Foraminoplastyを行い,Outside-in法で手術を行っている.L5/S1は解剖学的に椎間孔が狭く,L5神経根が近いため,Exiting nerve root injury(ENRI)のリスクが高いとされているが,L5/S1に限った治療成績の報告は少ない.本研究はL5/S1のLDHに対するTF-FEDの治療成績を評価しL4/5の治療成績と比較検討した.

    対象と方法:2021年4月から2022年12月,当科にてLDHに対しTF-FEDを行い6ヶ月以上経過観察可能であった62例(L4/5:39例,L5/S1:23例).評価項目は年齢,性別,LDHの左右の局在,穿刺距離,手術時間,手術既往歴の有無,周術期合併症の有無,臨床成績は術後6ヶ月のVAS,JOABPEQ,ODIを用いた.

    結果:全平均年齢は44.5歳,男性41例(66.1%),右側30例(48.4%),穿刺距離の平均は7.3 cm,平均手術時間は82.9分,手術既往歴がある症例は5例,周術期合併症は認めず,術後VAS,JOABPEQ,ODIで有意に改善した.L4/5とL5/S1の比較では年齢,性別,手術時間,手術既往歴に差は無く,術前のJOABPEQで疼痛関連障害(p= 0.03),腰椎機能障害(p= 0.04),ODI(p= 0.03)以外で有意な差は認めなかった.また,術後6ヶ月でVAS,JOABPEQ,ODIで2群間に有意な差は認めなかった.

    結語:L5/S1のLDH対するTF-FEDにおいて,Foraminoplastyを十分行うことで,L4/5と同等の良好な成績を得た.

  • 寺門 淳, 松本 凱人, 中村 俊文, 諸澄 孝宜, 大鳥 精司
    2024 年 15 巻 6 号 p. 929-934
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:成長期の腰椎分離症においてCTは分離の形態を把握し治療方針を決定するのに必要である.しかし,放射線被曝の観点からCTの施行はなるべく避ける方が望ましい.Bone imaging MRIは最近注目されている撮像方法であり,CTに近い画像を描出することができる.今回,腰椎分離症のBone imaging MRIとCT画像を対比させて,Bone imaging MRIの診断率を検討した.

    対象と方法:2022年6月~2023年9月に当院を初診で受診した成長期の腰椎分離症患者97名のうちBone imaging MRIとCTを同時に検査した85名,180ヶ所を対象とした.MRIはCanon製1.5-Tを使用し,シークエンス名は3DFE,M-Echo法にて行った.CT画像を真の所見としてBone imaging MRIの感度,特異度,陽性的中率,陰性的中率を算出した.

    結果:Bone imaging MRIの感度は74/117=63.2%,特異度は61/63=96.8%,陽性的中率74/76=93.5%,陰性的中率は61/104=58.7%であった.

    結語:1.5-TのMRIのBone imaging MRIは感度は低いが陽性的中率が高い検査であり,Bone imaging MRIとMRI-STIR画像を組み合わせることによって,CTを省略できる場合があることが示された.

  • 成田 陽祐, 小野 睦, 熊原 遼太郎, 石田 慶将, 前田 貴哉, 越後谷 直樹
    2024 年 15 巻 6 号 p. 935-940
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:腰椎変性疾患により前脛骨筋(TA)の筋力低下を生じた症例に対し,術前下腿MRIによる筋質評価を行い,術後TAの筋力回復との関連について調査した.

    対象と方法:対象は腰椎変性疾患に伴いTAの筋力低下を呈した25例25肢とした.術前に下腿MRIをSTIR条件で撮影し,TAの高信号変化の有無を評価した.また,術前および術後6ヶ月時点でTAのManual Muscle Testing(MMT)を評価し,下腿MRIとの関連をR commander 2.8.1を用いて統計学的に検討した.

    結果:全25例中STIRでTAに高信号変化を認めたのは8例(32%)であった.STIR高信号を認めたのは術前TAのMMT[4]が14例中2例(14.3%),[3]が6例中1例(16.7%),[2]以下が5例中5例(100%)であった.統計解析の結果ではSTIRでのTA高信号変化と術後6ヶ月時点でのTA筋力の回復との関連が認められた(p=0.002).

    結語:術前におけるMRI(STIR)でのTAの高信号変化は,術後のTA筋力回復との関連が認められた.MRIを用いたTAの筋質評価が術後筋力回復の予測因子となり得る可能性が示唆された.

  • 石津 克人, 中山 裕子, 野嶋 素子, 小川 幸恵, 保地 真紀子, 溝内 龍樹, 山崎 昭義
    2024 年 15 巻 6 号 p. 941-946
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:本研究の目的は,sagittal vertical axis(SVA)マイナスであるスウェイバック(SB)姿勢を呈する腰部脊柱管狭窄症(LCS)患者の脊柱矢状面アライメントパラメータ,身体機能,腰下肢痛の関係について明らかにすることである.

    対象と方法:自立歩行可能な術前LCS患者127例を対象とした.SB群(SVA<0 mm),良好群(0 mm≦SVA<50 mm),前傾群(50 mm<SVA)の3群に分類し,脊柱矢状面アライメントパラメータ(SVA,TK,LL,SS,PT,PI),歩行能力(10 m最大歩行時間,Timed Up and Go Test),立位重心動揺,腰下肢痛について比較検討した.

    結果:SB群のLLは他2群より有意に大きく,PTは前傾群より有意に小さいものの良好群とは差がなかった.TK,SS,PTは3群間で有意差はなかった.歩行能力,立位重心動揺,腰下肢痛はSB群と他2群の間に有意差を認めなかった.

    結論:SVAマイナスを呈するLCSは,大きな腰椎前弯に対して胸椎および骨盤での代償を認めなかった.身体機能・腰下肢痛はSVA良好群と同等であった.

  • 木島 和也, 圓尾 圭史, 有住 文博, 楠川 智之, 都井 政和, 吉江 範親, 山浦 鉄人, 波多野 克, 長尾 和磨, 橘 俊哉
    2024 年 15 巻 6 号 p. 947-952
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:fenestrated pedicle screw(FPS)は骨粗鬆症患者において再手術率を減少させ,スクリューのゆるみを減少させると報告されている.その一方でセメントリークも報告されている.本研究の目的はFPSのセメントリークについて明らかにすることとした.

    対象と方法:対象は2022年2月から2023年5月の間にFPSを用いた42例168本について後ろ向きに検討を行った.平均年齢は81.0±5.8歳,男性19例(45.2%),女性23例(54.8%)であった.疾患の内訳は骨粗鬆性性椎体骨折が最も多かった.検討項目はスクリューを使用したレベル,手術手技(経皮的,オープン),セメントリークの有無とした.セメントリークに関してはsegmental veinからリークしたものをType S,basivertebral veinからリークしたものをType B,皮質骨の欠損部からリークしたものをType Cとした.

    結果:セメントリークは42例中26例(61.9%),168本中43本(25.6%)のスクリューに認めた.内訳はType Sが37本,Type Bが1本,Type Cが4本,Type S+Bが1本であった.有害事象を認めた症例はなかった.

    結語:FPSにおいて25.6%のスクリューにセメントリークを認めた.対応としてセメントの固さや,注入時圧,また透視下にセメントリークが確認できる症例もあったため,こまめな透視の確認が必要であると考える.

  • 古高 慎司, 藤原 靖, 大田 亮, 土川 雄司, 山本 真弘, 村上 欣, 大田 悠貴, 安達 伸生
    2024 年 15 巻 6 号 p. 953-958
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:本研究では,70歳以上の腰椎椎間板ヘルニアに対するコンドリアーゼ椎間板内注入療法の治療成績とその予後因子を検討した.

    対象と方法:当施設にて70歳以上の腰椎椎間板ヘルニアに対しコンドリアーゼ椎間板内注入療法を施行した20例を対象とした.腰痛と下肢痛,JOAスコアを治療前と治療後1ヶ月,3ヶ月,12ヶ月で評価し,画像評価は立位単純レントゲンとMRI,CTで行った.下肢痛の改善率が50%以上の症例を有効群,50%未満または1年以内に手術に移行した症例を非有効群と定義し,各項目の比較を行った.

    結果:有効群は6例(30.0%),非有効群は14例(70.0%)であり,1年以内に手術に移行した症例は7例(35.0%)あった.手術に移行せず1年以上経過観察可能であった13例を検討すると,下肢痛は治療後1ヶ月と3ヶ月,12ヶ月で有意に改善し,JOAスコアは治療後3ヶ月と12ヶ月で有意に改善した.また,有効群と非有効群を比較検討すると,Pfirrmann分類のgradeが有効群で有意に大きかった.

    結語:高齢者に対するコンドリアーゼ椎間板内注入療法は椎間板変性が進行している症例で効果があることが分かった.高齢者でも椎間板変性が進行した椎間板ヘルニア症例で有用な治療法であることが示唆された.

    腰椎椎間板ヘルニアに対してコンドリアーゼ椎間板内注入療法を施行した70歳以上の症例20例の治療成績を調査した.施行後1年で下肢症状が半減した症例が6例あり,1年以上経過観察可能であった症例では下肢痛とJOAスコアが有意に改善していた.若年者と比較し効果は劣るものの,椎間板変性が進行している症例で一定の効果が得られることが分かった.高齢化社会の到来に伴い,今後も本疾患に罹患する症例は確実に増加することが考えられる.このため,合併症が少なく,入院の必要がない,より低侵襲な本治療法の適応が増加すると考えられる.

  • 葉 清規, 対馬 栄輝, 大石 陽介, 村瀬 正昭, 松田 陽子, 林 知希, 土居 克三, 竹内 慶法
    2024 年 15 巻 6 号 p. 959-968
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:本研究の目的は,Balloon Kyphoplasty(以下,BKP)術前の歩行能力の違いと外来通院での運動療法(以下,外来リハ)が術後臨床成績にあたえる影響を検討することである.

    対象と方法:当院で骨粗鬆症性椎体骨折に対してBKPを施行した症例を,術前の歩行能力により独歩群(57例),歩行補助具群(58例)に群分けした.次ぎに,外来リハ実施の有無により,独歩・外来リハなしのA群(24例),独歩・外来リハありのB群(33例),歩行補助具・外来リハなしのC群(26例),歩行補助具・外来リハありのD群(32例)に群分けした.各群の術前から術後6ヶ月,12ヶ月における臨床成績を,腰背部痛VAS,JOABPEQ,SF-8で比較した.

    結果:歩行補助具群は,独歩群より有意に高齢であり,入院期間が長く,SVAが長かった.各群とも治療経過における臨床成績の改善がみられた.独歩群は,歩行補助具群より術後6ヶ月,12ヶ月にJOABPEQの歩行機能障害と社会生活障害スコアが上昇し,有効率が高値であった.D群は,C群より術後6ヶ月の歩行機能障害と社会生活障害スコアが上昇し,歩行機能障害スコアの有効率が高値であった.

    結語:BKP術後の臨床成績には,術前の歩行能力が影響しており,術前歩行補助具が必要な歩行能力であれば,外来通院での運動療法は有効な可能性がある.

  • 有馬 秀幸, 大和 雄, 長谷川 智彦, 吉田 剛, 坂野 友啓, 大江 慎, 井出 浩一郎, 山田 智裕, 渡邉 悠, 黒須 健太, 松山 ...
    2024 年 15 巻 6 号 p. 969-978
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:成人脊柱変形に対してゴムの収縮を利用した下肢骨格筋サポート装具の歩行改善効果を調査したので報告する.

    方法:40歳以上の成人脊柱変形30例(平均71.6歳)を対象とした.腰椎ベルトに連結したゴムを両側の前足部と踵部に引っ掛けた下肢骨格筋サポート装具の装着時と非装着時で中距離歩行解析を施行した.装着時に6分間歩行距離が10%以上改善した群と非改善群で患者因子,歩行パラメータ,X線パラメータを比較した.

    結果:30人中7名で6分間歩行距離は装着なしの平均203.6 mから装着時に280.0 mに有意に改善した.改善群は,非改善群と比較して,患者因子,X線パラメータに有意差はなかったが,体幹前傾角(最大値)が大きい傾向にあった(33.2° vs. 15.3°,P=0.110).

    結語:ゴムの収縮を利用した下肢骨格筋サポート装具は,歩行時により体幹が矢状面,冠状面に傾斜する成人脊柱変形症例で歩行距離,体幹姿勢の改善に寄与する可能性が考えられた.

  • 片岡 大輔, 貴志 真也, 菴田 真吾, 三宅 智税
    2024 年 15 巻 6 号 p. 979-984
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2024/06/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:腰椎分離症は発育期のスポーツ選手に好発する腰部疾患の一つである事が知られている.サッカー競技は腰椎分離症発生が多い競技の一つである.今回の研究の目的は,ジュニアサッカー選手の腰椎分離症を早期発見するためのスポーツ現場で活用可能なスクリーニングツールとなる指標を得る事とした.

    対象と方法:中学生サッカー選手37名を対象にアンケート調査と下肢柔軟性評価を実施し,アンケート調査から分離症治療歴のある選手(分離群)と一度も腰痛の経験がない選手(コントロール群)の2群に分類し比較を行った.

    結果:下肢柔軟性評価9項目中,股関節伸展可動域は分離群で陽性6名,陰性2名,コントロール群で陽性2名,陰性27名と2群で有意差を認めた(P=0.0003).その他8項目では2群で有意差は認めなかった.

    結語:中学生サッカー選手で腰椎分離症治療歴のある選手は,腰痛を経験した事のない選手に比べて股関節伸展可動域が不十分な身体的特徴が認められ,スポーツ現場での腰椎分離症予防のスクリーニングとしては,股関節伸展可動域をチェックする事も大切である.腰椎部へのストレスを軽減させるためには股関節伸展可動域15度以上獲得を目指したセルフケア指導が重要であると考えられた.

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