2025 年 42 巻 3 号 p. 218-223
要旨:40代男性。直腸癌に対して切除および術後補助化学療法(XELOX療法)が施行された。化学療法完遂後に肝臓に単発の占拠性病変が出現し,直腸癌の肝転移が疑われて肝部分切除が施行された。組織学的には類洞の高度拡張とうっ血がみられた。類洞内皮細胞は不明瞭化し,CD34陽性の新生血管がみられた。肝細胞は異型に乏しい。よって,限局性のPeliosis hepatisと診断した。オキサリプラチン系抗がん剤の副作用として類洞障害が報告されているが,本症例のように限局病変では臨床的にも腫瘍の転移との鑑別が問題となる。