Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
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症例報告
ゾレドロン酸抵抗性の高カルシウム血症による難治性悪心に対しデノスマブが奏功した1例
萩原 信悟久永 貴之東端 孝博矢吹 律子下川 美穂志真 泰夫
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2015 年 10 巻 4 号 p. 552-556

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抄録
【はじめに】ゾレドロン酸抵抗性の高カルシウム血症による難治性悪心が,デノスマブ投与により緩和され生活の質が改善した1例を経験した.【事例】54歳女性,腎盂癌,多発転移.血清カルシウム値上昇と悪心を認めた.複数の制吐薬の使用では症状改善困難でゾレドロン酸を投与したところカルシウム値低下と共に悪心もSTAS-J 3から1に改善した.3回目のゾレドロン酸投与後は補正カルシウム値11.8 mg/dlと抵抗性を示し,悪心の改善は認めずデノスマブを投与した.投与15日後にカルシウム値9.4 mg/dlに低下,悪心もSTAS-J 4から0に改善した.短期間ではあったが家族と穏やかに過ごす事が可能となり死亡までの間症状の再燃やデノスマブの有害事象はなかった.【考察】デノスマブはゾレドロン酸抵抗性の高カルシウム血症における難治性の悪心の改善に有用である可能性が示唆された.
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© 2015 日本緩和医療学会
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