Palliative Care Research
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原著
ナショナルデータベースを用いた,がん患者の死亡2週間前の終末期医療の質の評価:サンプリングデータセットの活用とその限界
佐藤 悠子藤森 研司石川 光一佐藤 一樹石岡 千加史宮下 光令
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2016 年 11 巻 2 号 p. 156-165

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Abstract

【目的】保険診療情報が格納されたナショナルデータベース(National Data Base,以下NDB)を用いた,終末期がん医療の質の評価の実現可能性と限界を検討した.【方法】NDBのサンプリングデータセット(Sampling Data Set,以下SDS)を用いて,2012年10月の死亡がん患者を対象に死亡14日以内の心肺蘇生術と化学療法の実施率を算出した.【結果】対象者1,233例を解析した.心肺蘇生術と化学療法の実施率は,入院死亡症例(n=1079)で8.2%,3.5%であった.SDSの仕様では,解析対象の化学療法薬剤の27-70%が匿名化されていた.【考察】SDSでは匿名化処理や入院と外来レセプトが紐付けされない等の問題から,過小評価の可能性があり結果の解釈に注意を要する.しかしながら,NDBの特別抽出であればこれらの問題の一部は解決でき,同様の手法で質の評価は可能と考えられた.

緒言

欧米では,既存のデータベースである被保険者の診療報酬請求データとがん登録情報データ等を二次利用した終末期医療の質の評価が試みられている14).終末期には心身の脆弱性や病態の多様性の問題で,患者を対象とした多施設での継続的な実施は困難であり,既存のデータベースを利用した調査は有用と考えられる5).終末期医療の質の評価指標(Quality Indicator : 以下QI)としては,2003年にEarleらが提唱した終末期の積極的治療の指標(死亡直前の化学療法,救急外来受診,集中治療室(Intensive Care Unit: 以下,ICU)入室,延命処置等)が評価されている16).終末期の積極的治療の指標の一部(死亡前1週間のICU入室,経管栄養チューブ使用,化学療法)は,患者・家族が報告する終末期のQOLとの関連があることが報告されている7).これらのデータベースから抽出するQIは,緩和ケアの全人的側面を評価できない,積極的治療の選択の妥当性までは検討できないという欠点がある5).しかしながら,がん登録や診療報酬請求のために日常業務の一環で作成されたデータベースは,様式が一定かつ収集が容易なため,二次利用によって継続的な質の評価が可能になると考えられる.

本邦で利用可能なデータベースの一つに,厚生労働省が管理するナショナルデータベース(National Data Base: 以下,NDB)があり,電子化された診療報酬明細書(レセプト)情報と特定健診等情報が格納されている8).2011年からは,研究者が提供のためのガイドラインに準じて使用申請を行い,有識者の審査によって公益性の高い研究だと承諾されると,NDBの二次利用が可能となっている.

本研究ではNDBを用いて,全国規模での終末期がん医療の質の評価の実施可能性を検討することを目的に,NDBから事前に抽出されたサンプリングデータセットの提供を受け,終末期の積極的治療の指標である死亡14日以内の心肺蘇生術と化学療法の実施割合等を算出した.また,解析方法や結果の考察を通して,サンプリングデータセットの限界について検討した.

対象と方法

1 サンプリングデータセットの仕様

2014年1月時点で,NDBからのデータ提供形式は,研究者が任意の抽出条件を指定する特別抽出と,厚生労働省が下記の仕様でサンプリングを行ったサンプリングデータセットの2種類があった9).サンプリングデータセットでは,2012年10月診療分の医科入院外レセプト,医科入院レセプト,DPC(Diagnosis Procedure Combination)レセプト,調剤レセプトの4種類から,高額レセプト(医科入院レセプトでは700,000点以上,医科入院外レセプトでは50,000点以上)を除外し,医科入院・DPCレセプトの全体の10%,医科入院外・調剤レセプトの全体の1%が抽出されている12).医科入院外レセプトにおいては,同一人物として紐付けが可能な調剤レセプトが加えられている.抽出されたレセプトにおいて,出現頻度が一定値(少ないものから0.1%に達するまで)を下回る「診断群分類」と「傷病名コード」「医科診療行為コード」「医薬品コード」の電算コードは,個人を特定する情報となりうるため匿名化処理が行われ,任意のコードに置き換えられている.医療機関情報は削除されている.

2 対象者の同定,患者単位のデータセット作成

サンプリングデータセットから,解析可能なデータベースに加工し,対象患者を抽出する方法は,2012年奥村らの解析を参考にした10).レセプトのファイル構成やレコードに関する記録条件仕様は「レセプト電算処理システムに関する記録条件仕様」として厚生労働省のレセプト情報・特定健診等情報提供に関するホームページで入手可能であり,詳細はこちらを参照されたい11).以下に,各レセプトで行った具体的な手順を述べる.

(1)DPCレセプト

診断群分類情報(BUレコード:診断群分類番号等を記録)のDPC転帰区分が「死亡」「外死亡」の症例を抽出し,傷病レコード(SBレコード:傷病名,副傷病名,主傷病名等を記録)「主傷病名」「医療資源を最も投入した傷病名」「医療資源を2番目に投入した傷病名」のICD10コードが表1内の場合をがん患者と定義した.重複癌と考えられる場合には,表1に記載したICD10コードの数値が小さい癌腫を優先させて分類した.なお,傷病名の修飾語に「の疑い」が付与されている傷病名は削除した.年齢,性別は,レセプト共通レコード(REレコード:レセプト単位データの先頭に記録必須)より抽出し,20歳未満の症例は除外した.死亡退院時の入院と死亡年月日は,BUレコードより抽出した.10月診療分のデータを利用して死亡前14日以上の診療行為が集計できるよう,10月13日以前に死亡した症例は除外した.SBレコードと傷病名レコード(SYレコード:傷病名,診療開始日等を記録)に登録された全病名から疑い病名を除いた上でCharlsonスコアを算出した12,13).以上の情報をそれぞれ統合し,患者単位のデータセットを作成した.

表1 解析対象の電算コード一覧

対象者について死亡前14日間に実施された保険医療行為データセットを作成するために,DPCレセプトの包括評価部分に係る診療行為の詳細情報が記録されたコーディングデータレコード(CDレコード)と,出来高部分の診療行為レコード(SIレコード),医薬品レコード(IYレコード)を抽出し結合した.なお,サンプリングデータセットでは,DPCレセプトと,医科入院・入院外レセプトとを同一患者について紐付けすることができないため,医療行為データセットは患者が死亡退院した10月のDPC支払対象期間中の入院時データのみで構成されている.

(2)医科入院・医科入院外レセプト

SYレコードの転帰区分が「死亡」の傷病名を抽出し傷病名マスターを結合し,表1原発部位のICD-10コードが付与された傷病名(疑いを除く)が1つ以上含まれる場合をがん患者と定義した.10月診療分のデータを利用して死亡前14日以上の診療行為が集計できるよう,10月13日以前に死亡した症例は除外した.REレコードからは年齢,性別を抽出した.Charlsonスコアは,疑い病名および転帰「治癒」を除外した全病名をSYレコードより抽出し,算出した.死亡日は,医科入院レセプトでは任意のコメントとして記録され,同定できないため,2012年10月中に最後の医療行為が実施されていた日を死亡日とみなした.

対象者について死亡前に実施された保険医療行為データセットを作成するために,医科入院・入院外レセプトのSIレコードとIYレコードから対象者のデータを抽出し結合した.また,医科入院外レセプトでは,ハッシュ値(個人を匿名化した上で付与した個別識別コード)で紐付けされた調剤レセプトの調剤情報レコード(CZレコード:1調剤日単位のデータを記録)から薬剤投与情報を追加した.調剤レセプトでは,最終調剤日を最終投与日とみなした.

なお医科入院レセプトから同定した死亡症例での医療行為データセットは,同一患者について他のレセプトと紐付けすることができないため,患者が死亡退院した10月の医科入院時のデータのみである.医科入院外死亡症例での医療行為データセットは,10月中の外来支払データのみであるが,複数の医療機関や調剤薬局の情報が同一患者について紐付けされている.

3 終末期医療の質の評価指標

終末期医療の質を下げると考えられる積極的治療の指標として,死亡14日以内の心肺蘇生術(Cardiopulmonary Resuscitation: 以下,CPR)は,全がん死亡症例数を母数とし,死亡14日以内に「非開胸的心マッサージ」もしくは「救命のための気管内挿管」が実施された症例数の割合を算出した.死亡直前の化学療法は,全がん死亡症例数を母数とし,死亡14日以内に化学療法薬(例:シスプラチン,パクリタキセル,テガフール,イマチニブ,ベバシズマブ等)が投与された症例数の割合を算出した.細胞障害性薬剤と分子標的治療薬の注射剤と経口薬の両方を含んだ.

その他,実態調査の実施可能性を検討するために,死亡14日以内の集中治療室(intensive care unit: 以下,ICU)入室,医療用麻薬(モルヒネ,オキシコドン,フェンタニル)の投与,昇圧薬(ドパミン,ドブタミン,エピネフリン,ノルアドレナリン)の投与,輸血用血液製剤の投与,がん患者カウンセリング料,がん性疼痛緩和指導料,緩和ケア診療加算の実施割合を測定した.今回の解析に用いた電算コードの一覧は,表1に示した.

4 統計解析

同定したがん死亡者を,DPC群,医科入院群(緩和ケア病棟,palliative care unit: 以下PCUでの死亡症例を除く),緩和ケア病棟群(以下,PCU群),医科入院外群に区分した.DPC群と医科入院外群は,それぞれDPCレセプト,医科入院外レセプトで死亡が同定された症例,PCU群は医科入院レセプトで死亡当日に緩和ケア病棟包括料が算定されていた症例,医科入院群はPCU群以外の医科入院レセプトで死亡が同定された症例と定義した.

DPC対象病院内のPCUで死亡した場合は,DPCレセプトではなく,医科入院レセプトで最終的な請求を行うこととなっている.また,緩和ケア病棟入院料に包括され処置や薬剤投与は,医科レセプトからは詳細な情報が得られないため医科入院群とは別に解析を行った.

質の評価指標の関連要因を探索するために単変量解析を行った.群間比較には,χ2検定,もしくはWilcoxon順位和検定を行った.また,平均値の比較にはt検定を用いた.有意水準を5%に設定した.すべてのデータ処理は,統計パッケージSAS Ver9.4(SAS Institute, Cary, NC)を用いた.

なお,本研究の結果は,レセプト情報等を基に独自に作成・加工したものであり,厚生労働省が作成・公表している統計とは異なる.

5 倫理的配慮

本研究は,東北大学大学院医学系研究科における倫理委員会の承認を得て実施した.

結果

DPCレセプト,医科入院レセプト,医科入院外レセプトから同定できた2012年10月14日から31日までの全死亡者数(傷病名を問わない)はそれぞれ1,107例,2,482例,126例であった.そのうち本研究で対象としたがん患者は計1,233例(33.2%)で,DPC群467例,医科入院群612例,PCU群124例,医科入院外30例であった.対象者背景を表2に示す.入院死亡症例で男性が60.6%,65歳以上が82.6%であった.原発部位は,肺(18.5%),胃(12.2%),大腸(12.4%),膵臓(7.5%)の順で多かった.

表2 対象者背景

表3に終末期医療の質の評価指標と,死亡14日以内に実施された主な診療行為の実施率を示す.死亡14日以内のCPRの実施率は,PCU群を除く入院死亡症例で8.2%[95%CI 6.7-10.1%](DPC群6%,医科入院群10%),入院外死亡症例で3.3%[0.1-17.2%]であった.死亡14日以内の化学療法の実施率は,PCU群を除く入院症例で3.5%[2.6-4.8%](DPC群4.5%, 医科入院群2.8%),入院外症例で10%[2.1-26.5%]であった.PCU群では,いずれも0%であった.

入院死亡症例において,死亡14日以内のICU入室0.9%,医療用麻薬の投与54.5%,昇圧薬の投与14.3%,輸血12%であった(表3).緩和ケア病棟入院料に包括される医療行為の詳細はレセプトに記載されず,PCU群で医療用麻薬の処方歴があった4例は,いずれもPCU以外の病床に入院中に実施されていた.

本研究で定義した化学療法薬の電算コード数は337薬剤であったが,サンプリングデータセット内で匿名化された薬剤コード数は,DPCレセプトでは92薬剤(27%),医科入院レセプトでは235薬剤(70%),医科入院外レセプトでは94薬剤(28%)あった(表1).

表3 終末期がん医療の質の評価指標,主な診療行為の実施率

表4に死亡14日以内のCPRや化学療法の実施と対象者背景の関連を示す.CPRが実施される割合は男性で有意に高かった(p=0.003).年齢によるCPR実施率に有意差はなく,80歳以上の症例のCPR実施率は7.7%であった.医科入院レセプトと医科入院外レセプトでは,CPRが実施されていた症例のうち診療日数が3日以内のものが37%であり,診療日数が有意に少なかった(p<0.001).

造血器腫瘍患者における死亡14日以内の化学療法の実施率は18.5%で,固形がん2.6%と比較して有意に高かった(p<0.001).死亡14日以内の化学療法の有無によるCPRの実施率に有意差はなかった(化学療法実施群12.2% vs. 非実施群7.1%, p=0.22).

表4 死亡14日以内の化学療法,心肺蘇生術の関連因子

考察

本研究では,ナショナルデータベースのレセプト情報を用いて,終末期がん医療の質の評価指標を測定する方法論を確立することを目的として,解析を行った.終末期の積極的治療の指標である死亡14日以内のCPRと,化学療法の実施率を算出した(表3).

本邦におけるがん患者へのCPR実施率は,がんセンターの一般病棟で死亡した104例で死亡48時間以内3.8%14),大学病院の一般病棟で死亡した164例で死亡30日以内1.2%15) と報告されている.本研究では,死亡14日以内のCPR実施率は入院症例の8.2%で(表3),先行研究と比較して高かったが,海外の先行研究のレビューの死亡30日以内のCPR実施率7-12%と同程度であった1).進行がん患者ではCPR成功率が低く16),本邦では心肺停止時の蘇生を行わないこと(Do Not Resuscitate:以下,DNR)を医師と家族で話し合い,事前に指示されていた死亡症例は,がん患者で多かったとの報告がある17).本研究のCPR実施例では,診療日数が非実施例に比較して有意に短く(表4),事前にDNRの話し合いが行われる時間が少なかった可能性が考えられる.また,今回の研究は死亡を起点とした後方視的観察研究であるため,進行・再発例のみを対象としていない.そのためCPR実施症例では,予期せぬ心肺停止状態となり救命可能な症例も含まれていた可能性がある.

本研究では,死亡14日以内の化学療法の実施率は入院症例で3.5%であったが,京都のレセプト情報を用いた3,294例の解析では死亡1カ月以内2.3-8.6%18),大学病院一般病棟の死亡164例では死亡30日以内67.1%,死亡14日以内26.8%17)であり,先行研究と比較して低かった(表3).これは,サンプリングデータセットの限界として,解析対象の化学療法薬の電算コードの27-70%(レセプトごとに異なる)あったことが影響している可能性が高い.同一成分の薬剤であったとしても,容量や商品名が異なると電算コードが異なるため,化学療法で頻用される今回の解析対象薬剤も匿名化されていた.しかも,対象者の約半数を占める医科入院群では化学療法薬の70%が匿名化されており,その影響は大きいと考えられる.また同一患者のレセプトについて,入院と入院外レセプトが紐づけできないこと,複数の医療機関を受診した場合に紐付けできないため,化学療法の実施率の低さに影響している可能性がある.

造血器腫瘍は,終末期の過剰なケアとの関連が報告されているが3,19),本研究結果でも造血器腫瘍の症例では,化学療法実施率が18.5%と固形がんと比較して有為に高かった(表4).レセプト情報のみでは,患者背景は限定的な情報しかなく,治療関連死か否かの判定はできないため,一律に過剰な化学療法が実施されているとはいえない.しかし,造血器腫瘍専門医は,固形癌を専門としている医師と比較して,全身状態が不良な患者に対しても全身化学療法を勧めることが多い傾向がある20).サンプリングデータセットでは,短期間のみで抽出された症例であり癌腫別の解析を行うには症例数が不足しているが,今後は臓器別に解析を行いフィードバックすることで,終末期の過剰な医療介入が適正化される可能性がある.

その他の死亡14日以内の医療行為について,1カ月分のサンプリングデータセットを用いて表3で示した項目や今回の結果では示していないが,保険診療としてレセプト電算コードが付与されている診療行為や加算は測定可能であった.終末期医療の実態研究は十分に可能で,同様の方法で継続的な現状把握と質の評価は十分に実施可能であると考えられた.定期的な質の評価とフィードバックによって,今後のがん終末期医療の質の向上につなげることが期待できる.しかしながら,今回の解析結果の解釈については,サンプリングデータセット特有の限界があるため,一部過小評価となっている点に注意が必要である.施設背景が不明であること,入院外レセプトのサンプリング率が1%と低く安定した結果が得られないこと等の限界がある.これらの問題の一部は,NDBの特別抽出であれば,解決できると考えられる.

表5には,本研究を通して得られた,NDBを用いた終末期がん医療の質の評価の可能性と限界について記載した.NDBの特別抽出であれば,地域や病院機能(がん診療連携拠点病院など)を加味した質の評価指標の測定が可能である.NDBの特別抽出でも解決困難な限界の一つは,緩和ケア病棟入院料が算定されている期間の診療行為の詳細は,緩和ケア病棟入院料に包括されるため,レセプト情報では把握できないことである17).しかしながら,本邦では緩和ケア病棟で死亡する症例はがん死亡患者の約10%であること,CPRや化学療法などの積極的な治療を行わないことを前提に緩和ケア病棟に入院する場合が多い.そのため,本邦の終末期医療の現状をNDBの特別抽出から解析する際には,今回測定した質の評価指標に関しては,緩和ケア病棟での死亡症例を母集団に含めても日本全体としての質の評価指標への影響は少ないと考えられた.その他にも,レセプト情報を用いた一般的な解析の限界として,患者背景の情報が不足しているため傷病名の妥当性,罹病期間,患者の重症度,積極的治療選択の妥当性とアウトカム情報が得られないこと,レセプト情報と実際の診療行為の実施率に関する精度が十分に検討されていないことが挙げられる.レセプト情報から得られる対象者の背景因子は限られたもので,十分な関連要因の検討は難しい.現行のNDBでは,レセプト情報とその他の情報(がん登録情報等)との照合は禁止されているが,より有益な研究を行うためには,他のデータとの連結による情報の強化が必須であると考えられる.さらに,レセプト情報等を用いた質の評価について,今回測定した質評価指標が我が国のがん患者のQOLと相関する有益なものであるかは不明である.今後の検討が必要だと考えられた.

表5 ナショナルデータベースを用いた緩和ケアの質評価の可能性と限界

結語

ナショナルデータベースのレセプト情報を用いて,終末期がん医療の質の評価指標を測定した.サンプリングデータセット特有の限界があり,本研究の結果の解釈には注意を要する.しかし,レセプト情報の特別抽出であれば,終末期がん患者の緩和ケアの質の評価が可能であることが示唆された.

謝辞

本研究は,本研究は日本学術振興会科学研究費基盤研究(B)課題番号25293165の助成を受けた.

References
 
© 2016日本緩和医療学会
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