Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
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原著
介護職員のターミナルケア態度に関連する要因の検討─個人属性および死生観との関連─
辻 麻由美田渕 康子
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2016 年 11 巻 3 号 p. 217-224

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Abstract

【目的】特別養護老人ホームとグループホームの介護職員を対象に,ターミナルケア態度と個人属性,死生観との関連を検討した.【方法】特別養護老人ホームとグループホームの職員772名に,無記名の自記式質問紙調査を行った.【結果】記入漏れのある者などを除外した338名(有効回答率43.8%)を分析対象とした.ターミナルケア態度総得点は,スタッフに比べて管理職(β=0.182, p=0.001),看取りの人数が10人以上(β=0.155, p=0.003),死生観尺度の《死からの回避》の得点が低く(β=−0.183, p=0.001),《死後の世界観》の得点が高いほど(β=0.168, p=0.001)高かった.【結論】ターミナルケア態度には,職位や看取りの人数,死生観が影響していた.高齢者施設での質の高い看取りケアの提供に向けて,ターミナルケア態度に影響する要因をさらに検討する必要がある.

緒言

わが国の65歳以上の死亡数は,2014年時点で死亡総数の88%を占めている1).死亡場所は,1977年を境に自宅から病院へ移行し,高齢者福祉施設での死亡も年々増加している2).2025年には団塊の世代が後期高齢者となり,高齢化率は引き続き上昇を続け3),わが国は多死社会を迎える.厚生労働省は,増加する看取りの受け皿として,在宅や介護施設等での看取りを増やすという方針を示しており4),今後ますます高齢者福祉施設での看取りは増加することが予測される.

すでに看取りを実施している施設は,特別養護老人ホーム(以下,特養)80.8%,介護老人保健施設(以下,老健)65.7%,介護療養型医療施設(以下,療養型)89.4%,グループホーム(以下,GH)49.0%と報告されている5).その中には,看取りは行っているが看取りケアに十分に取り組めていない施設もあり5),看取りの準備が整っていない中で,経験のない職員が看取りを行う状況となっていることも考えられる.また,高齢者施設職員の半数以上が,ターミナルケアに関する十分な教育の場がないと回答しており5),職員に対する教育の必要性が先行研究で報告されている6).介護職の資格は,介護職員初任者研修,実務者研修,介護福祉士,ケアマネジャーの4種がある.これらの資格取得までの経路は様々で,通信教育,専門学校,高校,短期大学や4年制大学と教育課程は多岐にわたる.ターミナルケアに関する教育は,2009年に介護福祉士養成カリキュラムが新カリキュラムへ改正され生活支援技術の中に終末期の介護を含むようになった7).ターミナルケアの充実に向けた取り組みはなされているものの,その成果が十分に表れているとは言い難い.質の高い看取りの提供には,施設入所者を全人的に捉え,その人らしい死を迎えることができるように環境を整えることや,そのための職員教育が重要であると考える.

ターミナルケア教育に関して様々な先行研究があるが,ターミナルケア教育において,自己の死生観をもつこと,他者の死生観を尊重できるようになることの重要性が報告されていることから810),死生観はターミナルケアを行う者の態度に影響を与えるものと考えられる.

1981年に,日本ではじめて院内病棟型ホスピスが開設され11),ターミナルケアや死生観に関する研究が散見されるようになった.GH職員と訪問看護ステーション職員を対象にした研究では,訪問看護師のターミナルケア態度には死生観の「死への恐怖・不安」が,GH職員のターミナルケア態度には死生観の「死からの回避」が関連していた.そして,訪問看護師やGH職員のターミナルケア態度に資格や看取り研修体験といった属性が影響していた12).また,一般病院(がん診療連携拠点病院)に勤務する看護師を対象とした研究では,ターミナルケア態度に死生観の「解放としての死」や「死からの回避」が関連し,さらに,ターミナルケア態度に死別体験や,看取った患者数,看取りの満足感などの属性が影響していた13).海外では,看護師を対象とした研究では,ターミナルケア態度と死生観との関連があった14)という報告がある一方で,関連はなかったという報告もあり15),ターミナルケア態度と死生観の関連について一致した見解は得られていない.

このように,国内外の先行研究においてターミナルケア態度と死生観との関連をみた研究報告は少なく,高齢者福祉施設での看取りが急増することが予測されるなか,実際に高齢者福祉施設で看取りのケアに携わる職員のターミナルケア態度や死生観に関する研究はほとんどみあたらない.

そこで,高齢者施設に勤務する介護職員のターミナルケア態度に関連する死生観や個人属性の特徴について明らかにすることで,今後の介護職員に対するターミナルケア教育への示唆が得られると考える.

本研究では,とくに介護職員の占める割合が多い16)特養とGHの介護職員を対象に,ターミナルケア態度と死生観および個人属性との関連を検討し,ターミナルケア態度に関わる要因を明らかにすることを目的とした.

方法

1 用語の定義

ターミナルケア態度と死生観を下記の通り定義した.

ターミタルケアとは,余命6カ月以内の終末期にある高齢者へのケアと定義し,「看取り」「終末期ケア」はターミナルケアの同義語とする.ターミナルケア態度とは,個人のターミナルケアに対する考えや感情とする.次に,死生観とは,「生きるとは」「死ぬとは」についての考え方,価値観とする.

2 対象者と方法

佐賀県内の特養とGHの231施設で,協力の意思表示の得られた施設職員772名に無記名の自記式質問紙を郵送にて送付・回収した.調査期間は2014年11月〜2015年3月であった.

3 調査項目

1)ターミナルケア態度

施設職員の看取りケアに対する態度は,1991年にFrommeltが死にゆく患者と家族に対する看護師のケアに対する態度を測定するために開発し17),コメディカルでも使用できるように改訂された18),ターミナルケア態度尺度日本語版[FATCOD-B-J]19)(以下,ターミナルケア態度尺度)を用いて評価した.オリジナルのターミナルケア態度尺度は30項目で1因子として使用するが,中井らは《死にゆく患者へのケアの前向きさ》,《患者・家族を中心とするケアの認識》,《死の考え方》の3因子構造をもつことを明らかにした.ただし,《死の考え方》は1項目で構成される因子であり,独立した因子としては活用せず総得点にのみ反映させることが推奨されている.そこで,本研究では,《死にゆく患者へのケアの前向きさ》《患者・家族を中心とするケアの認識》の2因子および,30項目から算出する《総得点》を使用することとした.この尺度のChronbachのα係数は0.85で信頼性は検証されている.《死にゆく患者へのケアの前向きさ》は,「死は人間にとって起こりうる最も悪いことではない」「私は死にゆく人のケアをしたいとは思わない」などの16項目の設問で構成され,死や死にゆく者に対する不安など,そのケアに対する感情や考えを示す.《患者・家族を中心とするケアの認識》は,「家族に対するケアは,死別や悲嘆の時期を通して継続されるべきである」「死にゆく人の身体的ケアには,家族にも関わってもらうべきだ」などの13項目の設問で構成され,患者やその家族へのケアに対する考えを示す.回答は,「全くそうは思わない」「そう思わない」「どちらとも言えない」「そう思う」「非常にそう思う」の5件法(1〜5点)で,ターミナルケア態度が積極的になるほど得点が高くなるように配点されている.総得点範囲は30〜150点で,逆転項目の15項目は逆転済み得点として計算した.

2)死生観

本研究では,臨老式死生観尺度20)を用いて評価した.この尺度は,日本人の死に対する価値観を測定するための簡便な尺度として開発され,尺度の各々の因子の特徴から全体としての死生観を把握するものである.《死後の世界観》,《死への恐怖・不安》,《解放としての死》,《死からの回避》,《人生における目的意識》,《死への関心》,《寿命観》の7因子27項目で構成され,Chronbachのα係数は0.74〜0.88で,信頼性・妥当性の検証も行われている.得点が高いほど,《死後の世界観》は死後の世界を肯定的に捉え,《死への恐怖・不安》は死への恐怖や不安が高く,《解放としての死》は死は苦痛からの解放と捉え,《死からの回避》は死への恐怖から死について考えることを避け,《人生における目的意識》は人生を肯定的に捉え,《死への関心》は死について積極的に考え,《寿命観》はいのちの期限を肯定的に捉えていることを示す12).回答は,「1.当てはまらない」「2.ほとんど当てはまらない」「3.やや当てはまらない」「4.どちらともいえない」「5.やや当てはまる」「6.ほとんど当てはまる」「7.当てはまる」の1〜7点で得点化し,各々の因子で単純加算した.因子得点の範囲は3〜28点である.

3)対象者の属性

年齢,性別,婚姻状況,現職場での経験年数,現職場での職種,職位,身近な人との死別体験の有無,看取り人数,専門学校や大学など基礎教育での看取りに関する授業体験・就職後の看取り研修体験の有無について調査した.

4 分析方法

対象者の属性やターミナルケア態度得点および死生観尺度の得点について記述統計を算出した.使用する尺度のChronbachのα係数を算出して内的一貫性を確認した.対象者の基本属性とターミナルケア態度に対し,2群間の比較はMann-WhitneyのU検定を,3群以上の比較はKruskal-Wallis検定を行い,有意差のみられた項目は,その後の検定としてBonferroni多重比較検定を行った.さらに,ターミナルケア態度尺度と死生観尺度についてSpearmanの順位相関係数を算出した.次に,ターミナルケア態度の総得点を目的変数に,個人属性の年齢,性別,婚姻状況,職場経験年数,職位,死別体験,看取り人数,看取りに関する教育や研修体験と死生観尺度を説明変数とした重回帰分析(ステップワイズ法)を行った.なお,すべての統計処理には,統計解析ソフト「IBM SPSS Statistics 23」を用いた.有意水準はp<0.05とした.

5 倫理的配慮

本研究は佐賀大学研究倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号26-53).調査票は無記名であり参加は自由意思であること,個人情報保護について明記した文書を調査票に同封した.調査票の返送をもって同意が得られたとみなした.

結果

回収は,特養が312部,GHが187部の合計499部(回収率65%)であった.そのうち,介護職以外の職種の者および死生観尺度の項目に欠損があった者を除外し,有効回答は338部(有効回答率43.8%)を分析対象とした.

1 対象者の属性(表1

平均年齢は39.9歳で,現職場での平均経験年数は6.8年,76.3%が女性であった.看取りの人数は10人未満の者が78.7%で,その内31.7%は職場での看取り経験のない者が含まれた.基礎教育での看取りに関する授業体験がない者が66.3%,就職後の看取り研修体験がない者が53.2%であった.

表1 対象者の属性

2 ターミナルケア態度と死生観(表2

ターミナルケア態度尺度の平均得点は,《死にゆく患者へのケアの前向きさ》56.0点,《患者・家族を中心とするケアの認識》47.7点,総得点104.9点であった.

死生観尺度の平均得点は,《死後の世界観》18.1点,《死への恐怖・不安》19.1点,《解放としての死》13.6点,《死からの回避》12.9点,《人生における目的意識》15.2点,《死への関心》14.7点,《寿命観》12.6点であった.

表2 ターミナルケア態度尺度と死生観尺度の実態

3 ターミナルケア態度と個人属性との関連(表3

現在の職場での経験年数を5年未満,5年以上10年未満,10年以上の3群に分けて比較した結果,《死にゆく患者へのケアの前向きさ》において,経験年数5年未満の者に比べて10年以上の者の得点が有意に高かった(p=0.002).

職位は,スタッフと管理職の2群で比較した結果,《死にゆく患者へのケアの前向きさ》,《総得点》において,スタッフに比べて管理職の得点が有意に高かった(p<0.001).

看取りの人数は,10人未満と10人以上の2群で比較した結果,《死にゆく患者へのケアの前向きさ》,《総得点》において,10人未満に比べて10人以上の得点が有意に高かった(p<0.001).

基礎教育での看取りに関する授業体験は,なしとありの2群で比較した結果,《死にゆく患者へのケアの前向きさ》のみ,なしに比べてありの得点が有意に高かった(p=0.049).

就職後の看取りに関する研修体験は,なしとありの2群で比較した結果,《死にゆく患者へのケアの前向きさ》,《患者・家族を中心とするケアの認識》,《総得点》の全てにおいて,なしに比べてありの得点が有意に高かった(p=0.001, p=0.007, p=0.001).

年齢や性別,婚姻状況とターミナルケア態度では有意差はみられなかった.

表3 ターミナルケア態度と個人属性との関連

4 ターミナルケア態度と死生観との相関(表4

ターミナルケア態度尺度の《死にゆく患者へのケアの前向きさ》,《総得点》が高いほど,死生観尺度の《死からの回避》の得点が低く弱い負の相関が認められた(r=−0.351, p<0.01, r=−0.248, p<0.01).また,ターミナルケア態度尺度の《総得点》が高いほど,死生観尺度の《死後の世界観》の得点が高く弱い正の相関が認められた(r=0.134, p=0.014).

表4 ターミナルケア態度と死生観との相関

5 ターミナルケア態度に対する影響要因(表5

ターミナルケア態度を目的変数とした重回帰分析の結果,ターミナルケア態度が高いのは,管理職(β=0.182, p=0.001),看取り人数が10人以上(β=0.155, p=0.003),死生観尺度の「死からの回避」得点が低い(β=−0.183, p=0.001),死生観尺度の「死後の世界観」得点が高い(β=0.168, p=0.001)者であった.なお,自由度調整済み決定係数は0.145であった.

表5 ターミナルケア態度総得点に関する重回帰分析(ステップワイズ法)

考察

1 ターミタルケア態度の実態と個人要因

本研究対象者のターミナルケア態度尺度の平均得点は,《死にゆく患者へのケアの前向きさ》56.0点,《患者・家族を中心とするケアの認識》47.7点,総得点104.9点であった.後藤らの高齢者ケア関連施設等に勤務する介護職員を対象にした調査では21),それぞれ,54.7点,44.7点,102.8点と報告されており本研究と類似していた.また,後藤らが調査した看護職員の結果では,それぞれ,59.7点,45.7点,109.3点と報告されており21),介護職員は看護職員に比べてターミナルケア態度の得点がやや低いことが示された.本研究の対象者は,現職場での平均経験年数が6.8年,看取り体験者が68.3%で,その内10人以上の看取り体経者が21.3%であったのに対して,後藤らの調査では,看護職員の半数以上が平均経験年数10年以上と長く,看取り体験者が94.9%と多かった.専門職としての経験年数や看取り経験が,ターミナルケア態度の得点に影響したと考える.

ターミナルケア態度と個人要因では,《死にゆく患者へのケアの前向きさ》,《患者・家族を中心とするケアの認識》,《総得点》の全てにおいて,就職後の看取り研修体験ありの者は得点が高かった.平川らは,老健の介護職員を対象にターミナルケアに関する教育の効果を調査し,研修会受講後はターミナルケアにやりがいを感じ,ケアを提供したいと考える職員の割合が有意に増加したと報告している22).研修会への参加は,積極的なターミナルケア態度を育成する機会となることが推察される.さらに,因子別の結果をみると,《死にゆく患者へのケアの前向きさ》では,現在の職場経験年数が5年未満に比べて10年以上,管理職,看取り人数が10人以上,基礎教育で看取りに関する授業を受けている者の得点が有意に高かった.後藤らは,経験年数の長い者ほど,死にゆく患者に前向きに接することができていると報告しており21),本研究の結果と一致していた.本研究で有意差のみられた経験年数や職位,看取り人数といった属性は,職場経験の積み重ねに通ずる共通点がある.管理職の年齢はスタッフよりも高く,経験年数も長い結果を本研究では示しており,職場経験の積み重ねがターミナルケアに対しての理解や抱く感情を深め,ターミナルケアに恐れることなく前向きさに取り組もうとする考え方や価値観に影響した可能性がある.また,基礎教育で看取りに関する授業を受けた者の方が,《死にゆく患者へのケアの前向きさ》の得点が高かったことは,基礎教育の成果があることを示しており,死に対する教育の重要さが示唆された.しかし,教育内容を詳細に調査していないためケアの前向きさを積極的にした教育にはどのような共通点があったのかなど,今後,さらなる調査が必要である.次に,《患者・家族を中心とするケアの認識》は,就職後の看取り研修体験以外の個人属性との関係は認められなかった.《患者・家族を中心とするケアの認識》は,患者・家族に最期の時をどのようにケアしていくべきなのか,踏み込んだ内容での設問で構成されている.《患者・家族を中心とするケアの認識》と個人属性との関係が認められなかったのは,経験や看取りの人数が増えても,具体的な関わり方に対する考え方を変えることの難しさを現しているのではないかと考える.

2 ターミナルケア態度に対する影響要因

ターミナルケア態度総得点を目的変数とした重回帰分析を行った結果,調整済み決定係数は低いが,管理職,看取り人数が10人以上,死生観の死からの回避の得点の低さ,死後の世界観の得点の高さは,ターミナルケア態度に影響を与える要因である可能性が示唆された.

看取り介護を実施している高齢者福祉施設の管理者は,利用者や家族の意向に沿うことを大切に考え,管理者自身が死を受け止める姿勢をもち,職員教育などのマネジメントやケアプランの作成といった業務を行っていることが報告されている23,24).管理者としての責務や経験豊富な看取り体験,死について考えることを避けず,死後の世界観を持つことが積極的なターミナルケア態度の育成に繋がっているものと考える.また,看取り人数の多さがターミナルケア態度に影響することは,大町らが病院看護師を対象にした調査13)でも同様の結果を示しており,経験の豊富さがターミナルケア態度に影響していることが考えられる.積極的に看取りに取り組み,経験を積み重ねることの重要性が示唆された.看取りを経験する中で,デスカンファレンス等を通して自己や他者の死生観に対する理解を深める機会を持つことが重要であると考える.

本研究は,佐賀県内の施設で調査しており地域性が反映されている可能性があり,結果の一般化には限界がある.また,ターミナルケア態度と個人属性との関連では,ターミナルケア態度と基礎教育および就職後の研修の有無において有意な関連がみられたが,重回帰分析の結果では有意な変数としては残らなった.施設ごとに実施されている研修の内容の違いや,教育課程の複雑さ,教育カリキュラムの違いなどが影響している可能性も考えられる.このような実際に受けた教育の内容なども含め,他の関連要因について検討する必要がある.また,今回,回収率は6割と比較的多いが,有効回答率が4割と少なかった.本研究で対象としたGHの多くが看取りを行っておらず,看取りの経験がない職員にとって,ターミナルケア態度や死生観に関する質問への戸惑いが回答の欠損につながった可能性がある.今後も,高齢者福祉施設での質の高い看取りケアの提供に向けて,対象の地域を広げながら結果の一般化を図るとともに,ターミタルケア態度に影響する要因についてさらに検討する必要がある.

結論

佐賀県内の特養とGHで働く介護職員338名を対象に自記式質問紙調査を実施した結果,介護職のターミナルケア態度は,就職後の看取り研修を受けている者が高かった.また,ターミナルケア態度には,職位や看取りの人数,死生観が影響していた.今回の結果を踏まえ,就職後の看取りに関する研修の充実を図るとともに,高齢者福祉施設の介護職員のターミナルケア態度に関連する要因を探求していく必要がある.

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