2020 年 15 巻 4 号 p. 285-292
【目的】急性期病棟で医師が「臨死期の指示」を出すことが,看取りケアのコミュニケーション(以下,意思疎通)と医療者の困難感を改善させるか検討した.【方法】臨死期指示実施前群,実施群,未実施群の意思疎通をSupport Team Assessment Schedule日本語版(STAS-J)で評価した.また医師と看護師の困難感を研究時期の前後で比較した.【結果】STAS-J第8項「職種間の意思疎通」は実施前群(n=71)0.46±0.53,実施群(n=34)0.18±0.39,未実施群(n=44)0.66±0.48であった(p<0.001).STAS-J第4,6,7,9項の群間に有意差はなかった.困難感意識調査は医師(n=20),看護師(n=77)共に変化を認めなかった.【結語】臨死期指示実施例では職種間の意思疎通が良好であった.医師・看護師の困難感と,家族の不安や意思疎通は寄与しなかった.