近親者との死別は,遺族にとって重大なストレス体験の一つである.本研究の目的は,親を亡くした遺族において,血縁関係が悲嘆および抑うつに与える影響を明らかにすることである.2017年および2018年に死亡した患者の遺族を対象に質問紙調査を実施し,悲嘆はProlonged Grief Disorder尺度,抑うつはPatient Health Questionnaireにより評価した.性別を補正した結果,悲嘆の有病率は実子で17.7%,実子の配偶者で21.6%,抑うつはそれぞれ39.1%,41.7%で,血縁にかかわらず高い有病率を示した.付き添い頻度等を調整後も,実子であることは悲嘆と関連していた(aOR=1.75, 95% CI: 1.59–1.94).悲嘆には血縁関係が有意に関連していたが,抑うつには関連が認められなかった.以上より,医療者は血縁の有無だけでなく,すべての遺族に対し,適切な心理的支援を行う視点が求められる.