Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
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症例報告
モルヒネ不応性の難治性咳嗽に対し, リドカイン持続投与が長期間有効であった症例
金石 圭祐川畑 正博
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2008 年 3 巻 1 号 p. 305-307

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抄録

持続する咳嗽は時に日常生活の大きな支障となり, 咳嗽の症状緩和は終末期においても重要な課題である. 今回, リドカインの持続静注が, モルヒネなどの薬剤が奏効せず体動時に頻発・持続する難治性乾性咳嗽に対し, 1年以上の長期にわたり有効であった症例について報告する. 症例は50歳代, 女性. 乳がん肺転移. 腫瘍が気管支内に浸潤しており, 腫瘍の機械的刺激が原因と思われる咳嗽の訴えがあった. 症状は体動に伴って出現することが多く, 咳嗽による苦痛が患者の生活の質を著しく低下させていた. 上記症状に対し塩酸モルヒネの持続静注を480mg/日まで行うも奏効せず, リドカインの持続静注を480mg/日から開始した. 開始後同日より症状の改善を認め, 更に960mg/日まで増量した後, 1年以上症状は安定したまま経過した. またリドカイン中毒などの副作用も出現しなかった. Palliat Care Res 2008;3(1):305-307

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© 2008 日本緩和医療学会
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