Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
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症例報告
酢酸オクトレオチドが奏効し在宅ホスピスケアが可能となった胃がん術後がん性腹膜炎の1例
村上 望新敷 吉成角谷 慎一村杉 桂子田辺 公一北澤 英徳
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2009 年 4 巻 2 号 p. 321-329

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抄録
症例は60歳代, 女性. 胃がん術後のSchnitzler転移と診断され, 人工肛門造設となった. この後, 抗がん剤治療を行ったが, 嘔気および下腹部痛が増悪したため入院となった. がん性腹膜炎の増悪と考え, 酢酸オクトレオチドの持続皮下投与を開始したところ, 著効を示した. 食欲不振STASは最大スコア4から, 1週間後にはスコア1にまで改善した. 患者・家族の意向をふまえ在宅ホスピスケアへ移行した. その後, 酢酸オクトレオチド投与によって在宅においても良好なQOLが保持された. 酢酸オクトレオチドはがん性腹膜炎に伴う嘔気・嘔吐や腹部膨満症状の緩和に有効な薬剤であるが, 入院においての使用には制約が発生する. 在宅ホスピスケアにおいて患者のQOLの保持・向上のために酢酸オクトレオチド投与は症状改善においても, また経営面においても有用であり, 今後の在宅ホスピスケアの重要なツールとなりうると思われる. Palliat Care Res 2009; 4(2): 321-329
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© 2009 日本緩和医療学会
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