抄録
看護師がスピリチュアリティを考える体験をした臨床場面とその内容とはどのようなものであるかを明らかにすることを目的とし, 4病院・1緩和ケア病棟の看護師に質問紙調査を実施した. 835名の看護師から回答が得られた結果, スピリチュアリティを考えた体験を持つ看護師は全体の2割程度であった. 看護師は, 病と共に生きる, あるいは死に向かう患者の姿から人間の強さや人生を考えるとともに, 生と死にまつわる超越的な出来事を通して, スピリチュアリティを考えていた. また, 臨床で困難と感じた患者へのケアなどを通して, 心身領域にとどまらないケアへの考えを深めていた. このような人の生と死や超越的なものへの看護師の関心は, 日本人のスピリチュアリティの構造を反映していると考えられるとともに, スピリチュアリティの概念を自身の体験と関連させながら理解を深める看護教育の必要性が課題として示唆された. Palliat Care Res 2011; 6(1): 216-221