Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
症例報告
がん終末期の幻覚妄想状態に電気痙攣療法が有効であった症例
新田 リヱ平 俊浩西岡 真美古口 契児
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2011 年 6 巻 1 号 p. 336-339

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抄録
【目的】緩和ケア病棟において増悪した幻覚妄想状態に電気痙攣療法(electroconvulsive therapy; ECT)が有効であった症例を経験したので報告する. 【症例】30歳代, 女性. 上行結腸がん再発, 肺転移. 緩和ケア病棟入院18日目に, 幻覚妄想を伴う強い緊張病症状を呈した. 消化管閉塞のため, 内服加療は積極的に行えず, ハロペリドールの点滴加療は奏効しなかった. 患者の苦痛は強く, 治療方針について多職種カンファレンスを重ね, 即効性のあるECT(全身麻酔併用)を選択した. ECT施行1回目より有効性がみられ, 3日間で4回のECTを終了後, 症状はさらに軽減し, 落ち着いた精神状態を取り戻すことができた. 明らかな副作用はなく, 血中のクレアチニンキナーゼや電解質などの異常な変化はなかった. 【結論】ECTは, うつや統合失調症に加え, 続発性の重症緊張病性障害にも適応があり, 迅速かつ確実な治療反応が期待できる. 今回の症例では, がん終末期においても比較的安全で有効な治療法であることが示唆された. Palliat Care Res 2011; 6(1): 336-339
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© 2011 日本緩和医療学会
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