Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
原著
オクトレオチド酢酸塩の安定性に対する亜硫酸水素ナトリウムの影響―デキサメタゾン注射剤との配合変化試験
田辺 公一大久保 純池崎 友明北山 祥平恒田 祐樹新田 淳美今村 理佐藤 秀人島田 雅也村上 望北澤 英徳
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2013 年 8 巻 2 号 p. 177-183

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抄録

【背景】オクトレオチド酢酸塩(以下, OCT)と併用頻度の高いデキサメタゾンリン酸塩(以下, DEX)製剤との配合変化の機序については不明な点が多い. 【目的】本研究ではpHおよび添加物である亜硫酸水素ナトリウム(以下, SBS)に着目しOCTの安定性を検討した. 【測定方法】SBS濃度の異なる市販のDEXとの混合溶液, およびリン酸緩衝液でpH4, 7および9に調製した溶液, 並びにSBS添加溶液のOCT残存率を調製後3および10日後にそれぞれHPLC (高速液体クロマトグラフィー)を用いて測定した. 【結果】SBSを含まないDEXとの配合において混合後10日目までOCT残存率は95%以上に維持されたが, 他剤ではいずれも85%に有意に低下した. また, SBSとの配合では3日で90%未満へとOCT残存率の有意な低下が認められた. 【考察・結論】OCTはSBS共存下で加水分解により残存率が低下することが示唆され, SBSを含まないDEX製剤を用いることでこの配合変化を避けうることが明らかとなった.

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© 2013 日本緩和医療学会
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