2022 年 47 巻 4 号 p. 407-413
遺伝性多発性外骨腫症(HME)は,長骨や扁平骨に多発する骨軟骨腫の存在を特徴とする遺伝性疾患であるが,まれに小児の脊椎に発生し脊髄症を来す.本論文では,進行する歩行障害で発症したが腫瘍切除により治療が奏効した,胸椎に骨軟骨腫が発生した12歳男児の遺伝性多発性外骨腫症の症例を報告した.治療のタイミングを逸すると,重篤な後遺障害を来す可能性があり,早期診断・治療介入が重要である.HMEの診療において,脊椎病変合併の可能性を認知しておくことが肝要であり,脊髄症の症状について患者および家族への啓蒙が必要である.