2023 年 48 巻 3 号 p. 261-270
放射線画像による解剖学的診断技術,下垂体機能評価とホルモン補充療法,神経内視鏡を用いた拡大蝶形洞法の導入による摘出率の増大などのために,小児頭蓋咽頭腫の治療成績は確実に進歩している.安定した長期予後を得るため原則的に全摘出が求められる頭蓋咽頭腫では初期治療が特に重要である.当科における自験例からも積極的な摘出と放射線療法は良好な長期経過をもたらすと考えられた.しかし,長期のホルモン補充療法の施行や画像追跡による再発の早期検出など他科との連携は依然として重要である.