主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:胎児,新生児頭蓋内出血
回次: 3
開催地: 東京都
開催日: 1985/01/19
p. 122-132
I 緒言
新生児頭蓋内病変の診断には頭部CT,超音波断層法,脳波,髄液検査等が用いられているが,最近では超音波ドップラー法による脳血管の血流測定,頭蓋インピーダンスの測定等も行われるようになってきている。また古くから髄液検査時に髄液圧を測定することはしばしば行われ,日常臨床上不可欠でもある。頭蓋内病変を扱う脳外科領域では脳室内カテーテル法1),硬膜下,あるいは硬膜上にカテーテルあるいはセンサーを挿入して頭蓋内圧を測定する方法2)が行われており,術前,術後の管理上の有力な指標となっている。新生児期の頭蓋内病変においても頭蓋内出血,低酸素性虚血性脳症,髄膜炎,水頭症等が脳圧の変動をきたす病態であるが,実際に脳圧を測定するには上述のごとく頭蓋骨を穿刺し,カテーテルもしくはセンサーを頭蓋腔に挿入しなければならず,脳実質や血管の損傷,あるいは感染病巣となる可能性があり,侵襲大であるといえる。ところが新生児では通常頭蓋には大泉門が開存しているため,この大泉門を圧ウィンドウとして頭蓋内圧を測定しようとする試みがなされている3)。