2015 年 31 巻 2 号 p. 120-125
本研究ではfNIRS装置を使用して短下肢装具の有無による歩行時の大脳皮質表層の前頭葉運動関連領域の血流動態の変化を比較検討した.対象は外来通院する被殻出血患者8名とし,発症時の出血部位,片麻痺と感覚障害の程度,歩行能力が類似した症例を選別した.課題1で装具歩行,課題2で装具なし歩行,それぞれ30秒×3セットのトレッドミル歩行を実施した.装具なし歩行では装具歩行に比べ病巣側運動前野,両側補足運動野,非病巣側運動前野,内側一次運動野,病巣側外側一次運動野と推定される箇所にて有意な増加がみられた.短下肢装具の使用により,前頭葉の運動関連領野の活動が限局されていることが確認された.