上肢切断者において義手は有効な道具の1つである.しかし,義手を操作できるだけで上肢切断者のQOLが向上するわけではない.彼らの生活においてのニーズを把握し,義手によって活動や参加をいかに拡大できるかが重要である.一方,上肢切断者あるいは義手使用者のQOLについては,我々の知る限り本邦において報告がない.我々は,兵庫県立リハビリテーション中央病院で義手の訓練を行い,在宅で生活している上肢切断者を対象として,多施設共同研究としてEQ-5Dを用いた健康関連QOLに関するアンケート調査を実施したので,その結果について報告するとともに,義手を活用しQOL向上に寄与している事例を紹介する.