2024 年 40 巻 4 号 p. 241-244
特有の装具が治療に用いられる小児の運動器疾患として,発育性股関節形成不全,ペルテス病,先天性内反足,特発性側弯症を取り上げ,歴史的変遷を概説する.レントゲンによるX線の発見以降に提唱されたペルテス病を除き,古くから臨床所見に基づく治療体系の中で装具治療が進歩した.X線の発見以降は画像所見に基づく病態の理解が進み,現代の装具治療の考え方が発展してきた.一方でいずれの疾患でも手術治療が進歩し,装具治療の役割や,治療体系に占める位置づけが変化してきている.今後も工学と連携し,患児にとって負担が少なく,かつ効果が高い装具の開発が望まれる.