女性心身医学
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在日外国人女性の異文化ストレス要因と精神健康度調査
大関 信子牛嶋 廣治ノールズ アラン浅田 豊
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2006 年 11 巻 2 号 p. 141-151

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抄録
本研究の目的は,在日外国人女性の日本での生活における異文化ストレスの要因とメンタルヘルスの状態を明らかにすることである.在日外国人が急増する中,これらの情報をウイメンズヘルス(特に女性心身医学)に関連する医療スタッフに提供することは意義がある.研究方法は,無記名自己記入式質問紙と精神健康度調査票(GHQ30)を用いた実態調査研究である.大学名簿一覧表からランダムに選んだ大学の国際部の協力を得て638名の在日外国人男女に質問紙を配布し,郵送にて144部を回収し143部を分析対象とした.研究結果として,女性(67名)は男性(73名)よりも有意にストレスを感じていることが明らかになった.また,27歳以上の女性は,26歳以下の女性よりストレスを感じている人が有意に多かった.ストレス要因では,女性は「ホームシック」「孤独」「天候」「来日してからの不安増加」「日本社会への不適応」「帰国後のこと」「日本での生活に対する失望」「受診」の項目で男性より有意にストレスを感じていた.GHQ異常群(6/7cut-off point)は44名(30.7%)で,うち26名は女性であり「孤独」と「来日してからの不安増加」のストレス項目が男性より有意に多かった.異常群のうち,医師の受診を要するハイリスク群(9/10cut-off point)は32名で,うち20名が女性で「ホームシック」と「来日してからの不安増加」のストレス項目が男性より有意に多かった.女性の3人に一人はこのハイリスク群で,男性の2倍の数となっている.これらのことから,ウイメンズヘルスに携わる医療スタッフは,在日外国人女性は,在日外国人男性よりメンタルヘルス上ハイリスクであり,年齢が高くなるほど注意を要し,「孤独」「ホームシック」「来日してからの不安増加」などを訴える女性に対しては,特に配慮する必要があると考える.
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© 2006 一般社団法人 日本女性心身医学会
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