女性心身医学
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更年期うつ病におけるホルモン療法と抗うつ薬併用の効果 : 文献的検証
山下 晃弘佐藤 弘樹重村 淳野村 総一郎吉野 相英
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2013 年 18 巻 1 号 p. 125-131

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抄録
更年期障害の症状は,血管運動症状,精神症状,身体症状に大別される.最も多い症状はホットフラッシュであるが,日常臨床では不眠,不安,抑うつ等の精神症状の合併も多くみられる.本稿では,周閉経期に発症するうつ病を"更年期うつ病perimenopausal depression"と定義し,特に注目すべき治療法であるホルモン療法と抗うつ薬の効果について検討することとした.Pub Medを用いて文献検索を実施したところ,更年期のホットフラッシュに対するホルモン療法や抗うつ薬の効果に関する文献は多数存在したが,更年期のうつ病に注目した文献は少数であった.いずれも抗うつ薬単独,もしくはホルモン療法単独での治療効果について論じたものが殆どで,両者の併用に関して論じた文献はさらに少ない(9本)ことが判明した.更年期うつ病に対するホルモン補充療法及び抗うつ薬の治療効果を検討するには,未だデータの蓄積が不充分な状況である.その原因を,更年期うつ病の重症度,経過,診断,副作用による脱落の点から考察した.更年期うつ病の研究において充分信頼性のあるデータを得るためには,婦人科と精神科の連携が必要不可欠である.今後も両者が協力した大規模な研究が望まれる.
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© 2013 一般社団法人 日本女性心身医学会
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