女性心身医学
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母子健康手帳交付時および産後のメンタルヘルスに関する後ろ向き縦断調査
宮内 清子ケニヨン(中北) 充子飯塚 幸恵小川 久貴子
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2014 年 18 巻 3 号 p. 439-446

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抄録
本研究は,母子健康手帳交付時の対象者の生活背景や妊娠が分かってからの気持ち,家族関係がどのように産後のうつ状態に関連しているかを明らかにすることを目的とした.方法は,621名の母子健康手帳交付時アンケートに回答した妊婦を対象とした.さらに産後のアンケートとマッチングの出来た410名を分析対象に2点の縦断的な後ろ向き観察研究とした.結果は産後うつ病得点(以下EPDS得点とする)に有意差が見られた項目および有意ではないが関連が予測された項目は「仕事の有無」「相談に乗ってくれる友人の存在」「母子健康手帳交付時点での生活でのストレスの感じ方」であった.さらに父親や母親に対する養育のイメージでは,父親の干渉および母親の優しいというイメージが産後のうつと関連していた.妊娠早期から産後のうつ対策は虐待の防止の観点から重要とされるが,妊娠早期の生活環境やサポート体制,妊娠することに対するストレス,妊婦の養育環境とくに父親や母親の養育イメージを聞き取り支援へと導くことが重要であるといえる.今後これらの項目についてさらに重点的にスクリーニングし,支援をしてゆくことが産後のうつ対策,虐待予防へつながることが示唆された.
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© 2014 一般社団法人 日本女性心身医学会
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