2015 年 19 巻 3 号 p. 301-309
【目的】産後における非妊娠時体重への復帰状況と妊娠期間中の体重増加量,産後の体脂肪率,自律神経活動,自己管理能力との関連を明らかにする.【方法】非妊娠時のBMIが標準(18.5〜25未満)の範囲に属した産後1年以内の女性49名,平均33.7(SD±4.8)歳を対象に,(1)測定(デュアル周波数体組成計による体重,体脂肪率,心拍変動法による自律神経活動),(2)質問紙調査(妊娠期間中の体重増加量,自己管理能力;10項目)を行った.【結果】産後6カ月以内に非妊娠時体重への復帰者は27名(55.1%),非復帰者22名(44.9%)であった.2群間で比較したところ,(1)妊娠中の体重増加量は復帰者9.3(SD±3.9)Kg,非復帰者12.2(SD±2.9)Kgであり非復帰者の方が多かった(p<0.01),(2)復帰者では体脂肪率25%以上は20名(74.1%),非復帰者では19名(86.4%)であった,(3)交感神経活動(SNS Index)および副交感神経活動(PNS Index)は復帰者2.4(SE±0.44),0.4(SE±0.03),非復帰者3.2(SE±1.07),0.4(SE±0.03)であり共に有意差はなかった,(4)自己管理能力は復帰者30.3(SD±3.2)点,非復帰者28.1(SD±4.0)点であり,復帰者の方が高得点であった(p<0.05).【考察】妊娠や出産を契機とした肥満の予防には,妊娠中から産後の継続した体重と体脂肪率の管理や,健康に関する自己管理能力の向上の重要性が示唆された.